羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

コーチ

コーチ (創元推理文庫)

人に仕事を教えることは難しい。様々な性格、向き不向きがあるから型通りの教えになってはならない。

今作は能力があるが、燻っている刑事の背中を押すコーチ的存在である向井が非常に魅力的。意味深で掴みどころがないが教えられた人からすると救いの声になっているのが非常に良い。

殻を破るきっかけを見つけられた時の安心感は素晴らしい。

 

だからこそ、背中を押され、花開いた刑事達が向井のために動く展開は人情味があって良かった。人を導くのは簡単ではない。

 

 

期待されつつ伸び悩む若手刑事たちの元に、コーチとして本部から派遣される謎の男・向井。捜査中の失態に悩む刑事、有名俳優の取り調べに苦戦する刑事、尾行が苦手な刑事。彼らに適切な助言を与える向井はなぜ刑事課ではなく人事課の所属なのか? 成長し所轄署から本部に戻った三人が直面した事件と向井の過去が交錯、三人は彼の過去を探り始める。傑作警察小説、待望の文庫化。解説=古山裕樹