発売当初から気になってはいたが、手が出なかった。しかし、今作に入っている魔王の帰還という短編が漫画化されていて、読んでみたら面白かったので、今作に手が出せました。
なんだろう、読んでいてモヤモヤしたり、登場人物に感情移入して苦しんだりとわりと重りが乗っかってくるような話が多かったが、その分、救われるようなエピソードにホッとしました。
日常に潜む、様々な感情を切り取った短編集になっていて。物語の出発から着地するまで、想像しながら読み進めていくと、どれも想像以上の展開をしているので1話1話の余韻が頭に残るようになっていました。
話ごとに思う事が違って、良い意味で作者に転がされました。
裏を突かれたピクニックと、どう着地するのか分からなかった愛を適量は収録作の中でも印象深かった。
登場人物ざ背負っていたものから良くも悪くも解放されていく様子は、過程の話が上手いからこそ感じられるのだなと。
生きづらさを抱えている人に届いて欲しい物語です。
夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。