羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

どうしても生きてる 文庫

どうしても生きてる (幻冬舎文庫)

 

タイトルの通り、苦しくたって、やるせなくても生きている限りは生きづけないと。

そんな気になるお話の短編集でした。

生きていて悩みは尽きないというのが嫌でも分かりました。

 

現実に直面して落ち込みそうでも、悩みながら自分と向き合っていくのは読み応えがありました。どの短編も素晴らしいし、タイトルも良い。

明るくはないし、胸が締めつけられる内容だが読み終えると不思議と心が軽くなりました。

 

朝井先生は人の後ろめたい感情や明かしたくない気持ちを描くのは抜群に上手い。

だから暗い話になっても、目が離せない。

 

どこに向かっていくのか分からない登場人物の気持ちの行方にハラハラドキドキします。

見てはいけないものを覗いているような気持ちになりました。

 

 

 

死んでしまいたいと思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。(「健やかな論理」)尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が写されているような気がした。(「そんなの痛いに決まってる」)生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。(「籤」)等鬱屈を抱え生きぬく人々の姿を活写した、心が疼く全六編。