羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

花は咲く、修羅の如く 3

花は咲く、修羅の如く 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

Nコンへ挑む花奈達。

朗読はただ読めば良いではなく、どの本を選んで、どこを読むかを決めなければならない。当たり前なんだろうが、大変だ。

制限時間もあるだろうし、意外と難しそう。

勉強になります。

 

放送部の部員同士が掘り下げられていくことで、些細なやりとりに味が出てきたなぁと。

今回は表紙にいる秋山が掘り下げられていて、意味深な台詞が多かった彼の家庭事情や足踏みしているのが分かった。悩める彼がドラマ制作を通して殻を破っていく様子は魅力的でした。

 

 

どんどん、関係図が広がっていて、これからどうなっていくのか楽しみです。

 

花奈の読み聞かせはシリーズの中で非常に大きいものがありますが、子供への読み聞かせで変化があったようで、この先どう変化していくのか注目です。

 

 

Nコンに向けて各自が出場部門を決めた花奈たち放送部メンバー。練習に励む花奈だが、アナウンス部門を選んだ松雪から自身を取材されたり、ビデオドラマ部門を選んだ萩大が撮るオリジナルドラマで演技デビューも!? 朗読だけでない放送部の作品作りを通して皆と少しずつ関係を深めていく中、憧れの修羅の舞台があると知り──。

探偵は友人ではない

探偵は友人ではない (創元推理文庫)

 

青春ミステリ作品でもかなり好きなシリーズの2作目。

表紙が単行本から変わっていたが、これはこれで良いですね。

内容としては、前作の探偵は教室にいないに比べて、よりなぜそんな不思議なことが起きるのか、起きた背景を掘り下げる解像度が増していたなと思います。

謎が解けた後にはちょっとモヤっとする感情がありつつも、晴れやかな気持ちになって歩き出せる開放感があって、素晴らしい読後感があります。

登場人物が謎を起こるための舞台装置みたいになっていないのは高感度が高いです。

ミステリとしても込み入った迷路みたいになっていて、どんな真相が待っているのか楽しみに読めました。

個人的に好きだったのは、ミステリ的には1話目のロールプレイ。登場人物の関係的には4話目のfor youです。

 

そして、1番は真史と歩の関係が少し変わっていく様子は魅力的でした。探偵と依頼者みたいな関係でしたが、幼馴染、友人としては寂しい関係だったので、互いに踏み込んでいく様子は青春の良さが詰まっていました。

 

 

学校や街で謎に遭遇するわたしを、
いつも幼馴染みの名探偵が助けてくれる
洋菓子店の暗号クイズや
美術室での奇妙な出来事を解く内に、
ふたりの関係に変化が。
札幌を舞台に贈る青春ミステリ第2弾!

わたし、海砂真史(うみすなまふみ)の幼馴染み・鳥飼歩(とりかいあゆむ)はなぜか中学校に通っておらず、頭は切れるが自由気儘な性格で、素直じゃない。でも、奇妙な謎に遭遇して困ったわたしがお菓子を持って訪ねていくと、話を聞くだけで解決してくれた。彼は変人だけど、頼りになる名探偵なのだ。歩の元に次々と新たな謎――洋菓子店の暗号クイズや美術室での奇妙な出来事――を持ち込む日々のなかで、ふと思う。依頼人と探偵として繋がっているわたしたちは、友人とは言えない。だけど、わたしは謎がなくても歩に会いたいし、友人以上に大切に思っているのに……。札幌を舞台に贈る、青春ミステリ第2弾!

ペンギンは空を見上げる

ペンギンは空を見上げる (創元推理文庫)

 

最高の読書体験でした。

ちょっとしたミステリがありつつも軸は少年、少女の成長物語。

思春期の葛藤と成長、そして希望が詰まっていて、心に響く成長物語になっていました。

心洗われるとはこのことか。

主人公・ハルがなぜ風船ロケットを飛ばし、宇宙を目指すのか。周囲に心開かずに、人に頼らないのか。疑問がありつつも進んでいく。

金髪の転校生である、イリスと接していく友情を築いていくことがあったり、幼なじみの三好との関係、学校内での陰湿なイジメ、親子の難しい関係、色々ありつつも全てが明らかになることで込み上げてくるハルの感情を大切にしたいと思いました。

ハル、イリス、三好、それぞれが背負っていたものを乗せて飛んだ風船ロケットに目頭が熱くなりました。

ハルとイリスは似たもの同士で、同じような悩みを抱えていたからこそ、分かり合えたのだと思うと尊い関係を見せて貰えたなと思いました。

また、周りの大人達がハル達に寄り添ってくれる人達で、暖かい雰囲気になっていたのは良かったです。

 

子供から大人まで、幅広い層に届いて欲しい物語でした。

 

タイトルも読み終えて見ると、胸にグッとくるものがあります。

 

小学六年生、風船で宇宙撮影に挑む。
奮闘するハルくんを、きっと応援したくなるはずです――
読み終えたあとは、もっと。
第34回坪田譲治文学賞受賞作

将来、NASAのエンジニアになりたい小学六年生の佐倉ハルくんは、風船による宇宙撮影を目指しています。できる限り大人の力を借りず、自分だけの力で。意地っ張りな性格もあってクラスでは孤立、家に帰っても両親とぎくしゃくし、それでもひたすらひとりで壮大な目標と向き合い続けるハルくんの前にある日、金髪の転校生が現れて……。第34回坪田譲治文学賞を受賞した、ひとりの少年の夢と努力の物語。奮闘するハルくんを、きっと応援したくなるはずです――読み終えたあとは、もっと。

夏は終わらない 雲は湧き、光あふれて

夏は終わらない 雲は湧き、光あふれて (集英社オレンジ文庫)

 

完結。様々な視点で描かれていたが、三ッ木高校に絞ったのは非常に良かったと思う。

球児の夏を凝縮しているようで、夏にピッタリの読み応え。

弱かった三ッ木高校が強くなっていることが既に感慨深いものがあります。しかし、弱かったチームから急に厳しく練習するようになったら反動が生まれるよね。それと月谷が成長しているからこそ捕手の鈴江も苦しむ。マネージャーの瀬川も心残りがあったりと色々悩ましい部分もあったが、最後の夏を戦い切った姿は天晴れでした。

特に印象的だったのは、笛吹が主将としてしっかりしていて、かつ成長していたことですね。

中村前主将も良い味出してました。

月谷と木暮の交流にはほっこりしつつ、2人の投げ合いは熱かったです。

 

試合は終わっても、夏は終わらない様子は野球の魔力だよなぁ。

 

弱小野球部の三ツ木高校は、エース月谷と主将笛吹のもとで確実に実力をつけていった。急成長を遂げるチームの中、捕手の鈴江は月谷の投球に追いつけず苦しむ。一方、ライバル東明学園の木暮も、思わぬ乱調でエースナンバーを剥奪される危機に。それぞれが悩みと熱い想いを胸に秘め、最後の甲子園へ向けて走り出す!! 感動の高校野球小説、クライマックス!

キュレーターの殺人

キュレーターの殺人 ワシントン・ポー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

ワシントン・ポーシリーズの3作品目。

毎回のことだが、厚い。

しかし、それが気にならないくらい夢中になって読めました。

前1.2作品は面白いのだが、読むのに時間がかかっていました。

今巻は場面展開がスムーズだったり、ポーとティリーの関係が安定していて、役回りも決まっていて上司にも理解されているからか分からないが読みやすかった。

ポーの軽口は相変わらずだし、ティリーは成長してるし、シリーズとしての積み重ねが感じられます。

 

今回は猟奇的な犯罪で相当練った上で事件を起こす犯人を突き止めていく、ポーとティリーの調査が魅力的でした。ふとした見逃してしまいそうなヒントを逃さないポーと得意分野だけでなく苦手分野でも頑張ったティリーのバディとしての活躍が光りました。

中々尻尾を出さない犯人だが、2人の執念が犯人を追い詰めていました。

犯人への道が、そんなことから繋がるのという驚きがあり、小さな違和感から真相に向かっていくのが興味深かったです。

 

中々胸が痛むシーンがありましたが、それは今作では仕方ないのか。辛いけど幸い…なところに落ち着いて良かった。

しかし、犯人から真犯人へ向かっていき、たどり着いた結末にはゾッとしました。

たしかに伏線は巻かれていたな…

真犯人の動機に関してはそこが繋がるのかと崩れ落ちそうでした。

流石にショックを受けました。

 

素晴らしいミステリーでしたが、幕引きがビター。

 

シリーズの続刊が早く読みたいけど、また来年かな。楽しみにしてます。

 

ストーンサークルの殺人』『ブラックサマーの殺人』の刑事〈ワシントン・ポー〉シリーズ、驚愕必至の第三作登場。
人体連続切断事件の背後に潜む「キュレーター」とは?
「先が読めたと思うなら、あなたは注意が足りていない……」
著者M・W・クレイヴン自薦!

クリスマスの英国カンブリア州で、切断された人間の指が次々発見された。プレゼントのマグカップのなか、ミサが行われた教会、そして精肉店の店内で――。現場には「#BSC6」という謎めいた文字列が。三人の犠牲者の身元を明らかにしようと国家犯罪対策庁のワシントン・ポー刑事とステファニー・フリン警部、、ティリー・ブラッドショー分析官らが捜査に乗り出す。だが彼らはまだ知らない。この連続殺人の背後に想像を超える巨悪「キュレーター」が潜んでいることを……。ポーやティリー、フリンたちが相対する敵の正体とは!? 驚愕必至のシリーズ第三作。解説/若林踏

アルマーク1 魔法学院入学編

アルマーク1 魔法学院入学編 (MFブックス)

 

読書メーターで献本サービスをしていて気になっていた作品。

webで人気がある作品のようで、読んでみようかなと。

 

王道ファンタジーということで、世界観、主人公、舞台、説明に終わってしまったので単巻での評価が難しい。しかし、戦しか知らない主人公・アルマークが学園で魔法を習び、仲間と交流していく様子を見ると、期待できるのかなと。アルマークは知識がないが、戦場を生き抜いていた分頭でっかちではないのが良い。

 

前半のアルマークの厳しい戦場を生き抜いていたりしていた場面は中々良かったので、戦闘が増えてくると盛り上がってくるのかな。

また、アルマークがまだ魔法を使えていないが、才能はありそうなのでどう開花するか気になります。

 

次巻でどれだけ盛り上がりを作れるか楽しみにしています。

 

北の傭兵の息子は、南の魔法学院を変えていく――。

戦乱の絶えない北の地で、傭兵の息子として生まれたアルマーク。彼は南から来た老人に魔法の才能を見出されるが、傭兵として成長し、幼くして一人前の戦士となる。しかしアルマークの父は、彼に平和な南の地で魔術師となることを望む。父との約束に従い、アルマークは旅に出る。ノルク魔法学院に入学するために。

二年の旅を経てたどり着いた南の学院での暮らしは、北の戦場とはすべてが違っていた。平和な南の国々では魔法が発達し、北の傭兵は蛮族と見なされていた。傭兵の出自を隠さざるを得なかったアルマークは、同級生の少女・ウェンディたちの助けを借りながら、魔術師としての一歩を踏み出す。しかしクラスでは、貴族と平民の間に見えない溝が横たわっていた。アルマークは北の傭兵としての力をもって、クラスメイトたちを、そして学院を変えていく――。

彼は、自分が既に闇を巡る長き戦いの渦に巻き込まれていることをまだ知らなかった……。

Webで9000万PV超! 異例の人気を得た本格巨編ファンタジー、開幕!

鬼人幻燈抄(四)幕末編 天邪鬼の理

鬼人幻燈抄(四)-幕末編 天邪鬼の理 (双葉文庫 な 50-04)

あぁ、この作品好きだなと改めて思う1冊。

刀を振るう機会がなくなっていき、武士の時代が終わる間際に揺れる武士の迷いが見事。そこに鬼の存在が絡んできて、より複雑になっていく。

辛くて儚い。だけど、それで終わらずに前向きに未来へ行けるような余韻が堪らない。浸ってしまう心情の揺らぎがありました。

妖刀に魅せられた武士、鬼を利用する会津藩士、鬼と人の共存を謳う今回だが、上手くいくところよりも上手くいかないことが多いのが歯痒くてしんみりさせられる。

甚夜が娘が出来て、居場所がある。それでも本来の目的もある。まさに濁っていた状況だが、1冊を通して、甚夜の迷いが晴れていく様は見事でした。

出会いと別れの諸行無常さが色濃く含まれるお話でした。

 

武士の時代が終わり、甚夜はどう生きるのか楽しみです。

 

 

文久二年(1862年)。
酒を巡る騒動から6年、江戸は仄暗い不安に揺れていた。
討幕の動きが日に日に強まるなか、甚夜は妖刀を巡る事件をきっかけに、幕府に忠義を捧げる会津藩士・畠山泰秀と出会う。
泰秀は幕府存続という目的のため、鬼を使役する武士だった。
武士と鬼――滅びゆく者たちの美学を描く幕末の物語。大人気和風ファンタジーシリーズの第四巻が文庫化!