羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

アルマーク2 北からの暗殺者編

アルマーク2 北からの暗殺者編 (MFブックス)

 

あっという間に夏休み。

休暇中の帰省を見ると良い家の生まれが多いのだな。

さておき、今回はウェンディが帰省しているときに命を狙われてるということで、たまたまアルマークとモーゲンがそれを知り、防ぐというもの。

アルマークの傭兵らしさが出る戦略や戦いっぷりは見事でした。

まだ、魔法が使えないけど、これから魔法を覚えたらチートみたいになるのだろうか。そこら辺はバランス良くして欲しい。

精神的に未熟な部分がありつつも友人のモーゲンの優しさが沁みるところがあり、成長している。

 

入学当初からアルマークを支えてくれているウェンディが背負っているものが明らかになり、彼女を少しでも救えて良かった。ウェンディに会いに行く、アルマークとモーゲンの優しい理由は純粋な気遣いが感じられて、非常に良かった。

ウェンディが傭兵を憎んでいるが、いつかアルマークが自分の出身を明かすことがあるのだろうか。

 

 


夏の休暇、少女に迫る魔の手。アルマークは彼女を救えるのか!?

ノルク魔法学院に入学し、初めての夏を迎えるアルマーク。夏の休暇は多くの生徒たちが実家に帰るが、遠い北の出身であるアルマーク、そして両親が忙しいモーゲンは、休暇中も寮に留まる。そんな二人を、王都の自分の家に遊びに来ないかとウェンディが誘う。

休暇前の試験をなんとか突破し、ウェンディを訪ねるのを楽しみにする二人だったが、そんな中、彼女から手紙が届く。家に脅迫文が送りつけられる事件が起き、ウェンディは王都よりさらに北の領地へ逃れることになったため、二人を招待できなくなったという。手紙の中で落ち込むウェンディ、そして残念がるモーゲンを見て、アルマークはたとえ遠くであっても、モーゲンと共にウェンディを訪ねることを決める。しかし道中、王都で二人が耳にしたのは、ウェンディの命を狙う北の傭兵たちの話だった。

アルマークとモーゲンは、ウェンディを救うことができるのか……!?

Webで9000万PV超! 異例の人気を得た、本格巨編ファンタジー!

明日の僕に風が吹く

明日の僕に風が吹く (角川文庫)

単行本の発売時から気になっていたが、頭から抜けていました。

文庫の表紙が気になって、思い出して読みました。

医師になりたいという憧れから行動を起こしたが、失敗してしまい、夢を見れなくなってしまった少年・有人が離島で再生していく。

医師になりたいと思っていた有人にとっては簡単には拭いきれないトラウマになっていて、環境を変えるのは良かったかなと。

有人が落ち込むのは分かるが、それ以降卑屈になっていく様子は歯痒さがありました。

島に移って、最初は優しさに包まれて変わろうとしていたが、大切な人との別れや、居続けることで島の実態を目の当たりにして、うちにこもっていた時に逆戻りしてしまう。

それでも、トラウマのきっかけになった人物や島の仲間達と話し合い、気持ちを吐き出し合うことで前に進んでいけてホッとしました。

 

有人がうちにこもって立ち止まっていたところから、いくつかのターニングポイントを経て、最終的には夢を取り戻していく姿は眩しかったです。

真っ直ぐに胸に突き刺してくる内容で、読み終えた後は清々しい気分になりました。

 

北海道の離島を舞台に、未来を失った少年の再生と成長を描く感動作。

実家は病院で将来の夢は医師。東京で恵まれた中学校生活を送っていた有人は、学校で注目を集めたある出来事で希望を失い、引きこもり生活を続けていた。彼の行く末を心配した叔父の雅彦は、心機一転、北海道の離島の高校への入学を勧める。「海鳥の楽園」と呼ばれるその島で、たった4人の級友と島民に囲まれる日々。東京での暮らしとは全く違う環境に、有人が戸惑いながらも馴染み始めた頃、残酷な別れが彼を襲い……。未来を失った少年の絶望と再生を描く、感涙必至の青春小説。

付き添うひと

付き添うひと

 

最高でした。

最近、岩井先生作品が好きなので新作を楽しみにしていましたが、非常に満足度が高いです。

岩井先生の作品でスポットが当たる職業がメジャーどころではないのが良いなと再確認出来る作品でした。弁護士は弁護士でも、少年犯罪を取り扱う付添人という職業を扱っていて、子供達とその友人、家族の距離感や問題を描いていて、各話に登場する悩める人達の心からの叫びを大切にしているのが印象的でした。

 

主人公・オボロが、子供やその子の周りにいる人にこれからの人生に希望を持てるように接しているのが非常に良い。

苦しみながら生きている人が助けを求めていて、どういうことに苦しんでいるのか、どうなりたいのか、内に秘めている気持ちを引き出していく。そうして、最後には現実と向き合って、気持ち晴れやかに歩いていく姿を見ると安心します。

話を超えて、問題を抱えていた人達がどうなったかという後日談も挟まれているので、良かったねと成長を感じられるのは素敵です。

 

作品全体的に救う側だったオボロが、助けを求める人を助けていくうちに、オボロ自身も救われるの良い締めくくりだったなと。

 

出版界で大注目の新鋭・岩井圭也が、子どもたちを取り巻く現状と未来を描き出す、感動のヒューマンドラマ。


僕は、あの頃の僕を救えているだろうか。


過去の経験を通して、付添人(少年犯罪において弁護人の役割を担う人)の仕事に就いたオボロ。彼に舞い込む依頼の先では、簡単には心を開かない、声を上げる方法すら分からない子どもたちが、心の叫びを胸に押し込め生き延びていた。オボロは、彼らの心に向き合い寄り添う中で、彼らとともに人生を模索していく――。

JK II

JK II (角川文庫)

 

まさかのシリーズ化!

衝撃的な作品だった前巻からどう続くのか気になっていました。

まとまっていたので、どう物語を展開するのかと思いましたが、流石はベテラン作家ですね。

上手い!

最後まで読めば分かるけど、JKという女子高生の意味だけでなはなく、ジョキアム・カランブーという人物の生き方も含んでいる。

あと、女子高生が性被害を受けることが多く、立場が弱い。そうした実情から彼女達を救うという面があるのが分かる。

前巻読んだ人は今巻も読んで確かめて欲しいです。

 

紗奈が戸籍もなく、身寄りもない、そんな状況でも身体を鍛えて策を巡らせて生き抜く姿は立派。表に出られないけど、警察が手を出せない悪者を処罰していく姿は爽快です。日本の犯罪者への甘さを突いていて、被害者に寄り添っているから、紗奈を応援したくなります。

とはいえ、1人で生き抜くのは厳しくなってくるだろうから、仲間を増やすのか気になります。

 

TBS「THE TIME,」で話題の、青春バイオレンス文学!

K-POPダンスが人気のユーチューバー「江崎瑛里華」。ある朝、投稿用動画の撮影中に川崎の暴力団、衡田組のチンピラが現れた。瑛里華の正体に気づいた男はナイフと銃で脅し、連れ去ろうとするが返り討ちに遭う。残されたバッグの中から犯罪計画と思われるメモを見つけた瑛里華は、自分を“幽霊”にしたヤクザたちの悪行を潰すため、記された日時に渋谷109に向かう。女子高生の聖地で、凄惨にして哀しい少女の復讐劇が始まる!

花は咲く、修羅の如く 3

花は咲く、修羅の如く 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

Nコンへ挑む花奈達。

朗読はただ読めば良いではなく、どの本を選んで、どこを読むかを決めなければならない。当たり前なんだろうが、大変だ。

制限時間もあるだろうし、意外と難しそう。

勉強になります。

 

放送部の部員同士が掘り下げられていくことで、些細なやりとりに味が出てきたなぁと。

今回は表紙にいる秋山が掘り下げられていて、意味深な台詞が多かった彼の家庭事情や足踏みしているのが分かった。悩める彼がドラマ制作を通して殻を破っていく様子は魅力的でした。

 

 

どんどん、関係図が広がっていて、これからどうなっていくのか楽しみです。

 

花奈の読み聞かせはシリーズの中で非常に大きいものがありますが、子供への読み聞かせで変化があったようで、この先どう変化していくのか注目です。

 

 

Nコンに向けて各自が出場部門を決めた花奈たち放送部メンバー。練習に励む花奈だが、アナウンス部門を選んだ松雪から自身を取材されたり、ビデオドラマ部門を選んだ萩大が撮るオリジナルドラマで演技デビューも!? 朗読だけでない放送部の作品作りを通して皆と少しずつ関係を深めていく中、憧れの修羅の舞台があると知り──。

探偵は友人ではない

探偵は友人ではない (創元推理文庫)

 

青春ミステリ作品でもかなり好きなシリーズの2作目。

表紙が単行本から変わっていたが、これはこれで良いですね。

内容としては、前作の探偵は教室にいないに比べて、よりなぜそんな不思議なことが起きるのか、起きた背景を掘り下げる解像度が増していたなと思います。

謎が解けた後にはちょっとモヤっとする感情がありつつも、晴れやかな気持ちになって歩き出せる開放感があって、素晴らしい読後感があります。

登場人物が謎を起こるための舞台装置みたいになっていないのは高感度が高いです。

ミステリとしても込み入った迷路みたいになっていて、どんな真相が待っているのか楽しみに読めました。

個人的に好きだったのは、ミステリ的には1話目のロールプレイ。登場人物の関係的には4話目のfor youです。

 

そして、1番は真史と歩の関係が少し変わっていく様子は魅力的でした。探偵と依頼者みたいな関係でしたが、幼馴染、友人としては寂しい関係だったので、互いに踏み込んでいく様子は青春の良さが詰まっていました。

 

 

学校や街で謎に遭遇するわたしを、
いつも幼馴染みの名探偵が助けてくれる
洋菓子店の暗号クイズや
美術室での奇妙な出来事を解く内に、
ふたりの関係に変化が。
札幌を舞台に贈る青春ミステリ第2弾!

わたし、海砂真史(うみすなまふみ)の幼馴染み・鳥飼歩(とりかいあゆむ)はなぜか中学校に通っておらず、頭は切れるが自由気儘な性格で、素直じゃない。でも、奇妙な謎に遭遇して困ったわたしがお菓子を持って訪ねていくと、話を聞くだけで解決してくれた。彼は変人だけど、頼りになる名探偵なのだ。歩の元に次々と新たな謎――洋菓子店の暗号クイズや美術室での奇妙な出来事――を持ち込む日々のなかで、ふと思う。依頼人と探偵として繋がっているわたしたちは、友人とは言えない。だけど、わたしは謎がなくても歩に会いたいし、友人以上に大切に思っているのに……。札幌を舞台に贈る、青春ミステリ第2弾!

ペンギンは空を見上げる

ペンギンは空を見上げる (創元推理文庫)

 

最高の読書体験でした。

ちょっとしたミステリがありつつも軸は少年、少女の成長物語。

思春期の葛藤と成長、そして希望が詰まっていて、心に響く成長物語になっていました。

心洗われるとはこのことか。

主人公・ハルがなぜ風船ロケットを飛ばし、宇宙を目指すのか。周囲に心開かずに、人に頼らないのか。疑問がありつつも進んでいく。

金髪の転校生である、イリスと接していく友情を築いていくことがあったり、幼なじみの三好との関係、学校内での陰湿なイジメ、親子の難しい関係、色々ありつつも全てが明らかになることで込み上げてくるハルの感情を大切にしたいと思いました。

ハル、イリス、三好、それぞれが背負っていたものを乗せて飛んだ風船ロケットに目頭が熱くなりました。

ハルとイリスは似たもの同士で、同じような悩みを抱えていたからこそ、分かり合えたのだと思うと尊い関係を見せて貰えたなと思いました。

また、周りの大人達がハル達に寄り添ってくれる人達で、暖かい雰囲気になっていたのは良かったです。

 

子供から大人まで、幅広い層に届いて欲しい物語でした。

 

タイトルも読み終えて見ると、胸にグッとくるものがあります。

 

小学六年生、風船で宇宙撮影に挑む。
奮闘するハルくんを、きっと応援したくなるはずです――
読み終えたあとは、もっと。
第34回坪田譲治文学賞受賞作

将来、NASAのエンジニアになりたい小学六年生の佐倉ハルくんは、風船による宇宙撮影を目指しています。できる限り大人の力を借りず、自分だけの力で。意地っ張りな性格もあってクラスでは孤立、家に帰っても両親とぎくしゃくし、それでもひたすらひとりで壮大な目標と向き合い続けるハルくんの前にある日、金髪の転校生が現れて……。第34回坪田譲治文学賞を受賞した、ひとりの少年の夢と努力の物語。奮闘するハルくんを、きっと応援したくなるはずです――読み終えたあとは、もっと。