羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

シャガクに訊け!

シャガクに訊け! (光文社文庫 お 57-1)

 

意外にもと言ったら失礼ですが、楽しく読めました。

社会学に興味があり、読んでみたが面白かったです。

大学生というのがまた良い。大人でも子供でもない年頃の揺れ動く心境と行動を学問と結びつけると納得がいきます。

主人公のえみるが弱さを持っていても、困っている人のために必死に動ける優しさがあるので、迷いながらも成長していくのが魅力でした。

各話に登場する相談者も後々にも繋がっているのは良かったです。

物語としても仕掛けがあり、読み応えがありました。

 

社会学というのは幅広い学問なんですね。

勉強になります。

 

キャラも立っていて、面白かったのでシリーズ化して欲しいけど、ないのかな。

 

大学2年の松岡えみるは単位取得の条件として社会学部一人気のない上庭ゼミに入り、学生相談室の補助をすることに。そこへやって来たのは家族、友人関係のトラブルを抱えた学生たちだった。社会学の知識で彼らにアドバイスを贈る上庭に、えみるも次第に心を動かされ――。コミュ障で根暗の社会心理学講師×お人よしで責任感の強い女子大生コンビがお悩み解決に導く!

ツルネ2 風舞高校弓道部

KAエスマ文庫 ツルネ -風舞高校弓道部- 2

 

全国大会に挑む風舞高校。

しかし、気の緩みから自分の射を出来ずに地方大会で敗退してしまう。

流石にトントン拍子にはいかないか。

気を引き締めるためには良かったのではないか。

湊とマサさんの関係が揺らいだのは互いに未熟さがあって、行き違いが起きてしまった。だけど、意思を確認して、再び共に行けるのは良いことだ。

 

また、風舞高校はもちろんだが、ライバル校である、桐先高校・辻峰高校の部員の掘り下げがあり、より作品の幅が広がった感じがします。学校毎によるカラーの違いも面白かったです。

 

今巻では愁、遼平が好きになりました。孤高の愁の内側を知れて良かったですし、人に好かれる遼平の人柄の良さは天下一品ですね。

湊、愁の先輩である二階堂は拗らせた性格で好きになれないタイプですが、弓引きとしての彼は彼の良さがあるのだなと。

 

全国大会の幕引きはこれしかないといったところで、風舞高校だけでなく、他の学校も今後が楽しみです。

 

 

ツルネ 風舞高校弓道部

ツルネ ?風舞高校弓道部?(1)

 

アニメ2期が始まったので復習のため読み返しました。

1度読んで、アニメを見ていても、最初の湊の早気の苦しみは辛い。

その分、マサさんや弓道部の仲間との交流が湊を癒していくのが心に沁みる。

ただ、初めから上手くいかない。

弓を引く仲間同士、仲良く…と思いきや各々の事情があり、衝突してしまう。しかし、衝突することで仲が深まっていく様子は見事でした。

胸に葛藤を秘めているから、ムキになって強い言葉を投げてしまう。

ただ、ぶつかり合うから理解がし合えるというのもある。

眩しく映りました。

 

また、弓道は精神が重要だと改めて突きつけられました。未熟だけど、成長していく過程が魅力的です。年頃の少年達だからこそ、迷いが起きる。その殻を破っていく姿は読んでいて惹かれます。

 

 

 

公務員、中田忍の悪徳 (5)

公務員、中田忍の悪徳 5 (ガガガ文庫)

アリエルのために忍が出来ることを尽くして、遂に自立へ。いつまでも忍の家で愛玩動物として置いておくわけにはいかないのは分かるが、もう少し導かないと…と思っていたら、やはりなと。言葉が話せるようになり、チャットも出来るようになっても、アリエルの気持ちが外に向かないなら、まだ一緒にいないとね。

 

アリエル、忍の過去が明らかになり、2人が出会えたのは幸運だったんだなと。

意思の疎通、日本の勉強、移住について、色々思考錯誤していたが、2人の同居が収まりが良い。

周りの人達の協力も心強くなってきた。

忍、アリエルの気持ちを尊重して寄り添っているから、すれ違っても安心していられる。

これから、どんな関係を築いていくのが目が離せないです。

 

明かされる、異世界エルフの出自と過去。

最大最凶の難局を切り抜け、最新版へとバージョンアップした機械生命体的地方公務員、中田忍。
懸念事項たる異世界エルフへの現代社会融和についても一定の手応えを認めた忍は、異世界エルフや協力者たちを巻き込み過ごす、儚くも尊い、つかの間の日常へ身を委ねることとなる。

転機が訪れたのは、忍たちが所属していた大学生時代のサークル活動『人力飛行機研究会』、通称トビケンのOB会。
献身的な協力者たちと、何より誰より異世界エルフへ真摯に向き合う中田忍の姿勢に心動かされた異世界エルフ、アリエルは、持てる知性と言語能力すべてを総動員して、己の出自と過去を、忍たち人類に語ってみせた。

衝撃と壮絶に彩られたその告白に、銘々心動かされる協力者たち。
だが、しかし。
区役所福祉生活課支援第一係長、中田忍は、普段通りの仏頂面で言い放つ。

「彼女には近々、この家を出て行って貰う」

間隙の日常に揺れる、現代異種族交流活劇・第五弾。

敵は中田忍。
逆らうのは、誰だ。

公務員、中田忍の悪徳 (4)

公務員、中田忍の悪徳 4 (ガガガ文庫)

 

表紙の躍動感良いね〜

忍とアリエルの生活が根づいてきた頃にやってくる、忍の限界。最初から今まで、ありとあらゆる可能性を想定して、未知のエルフと生活を送ってれば、そうなるか。

一から百まで細かく、考え続けて、仕事や日常が乱れないわけがない。

凡人な忍だからこそ頑張り過ぎてしまう。

そんな時こそ、周りに頼る。

部下の一ノ瀬におはちが回るのは自然か。

逃避しようとする忍に一ノ瀬がビシッと言えるあたり、良い部下だ。

雨降って地固まるというところ。

 

アリエルが成長して、忍達も覚悟が固まってきて、どうなる。

 

中田忍の苦悩。物語は謎の限界へと向かう。

謎のメッセージとともにもたらされた“異世界エルフ”アリエルの身分を公的に証明する書類の数々。
多くの問題を解決し、忍の目指す異世界エルフの社会的自立を大きく助けてくれるはずのそれは、同時に『公的機関のデータベースを自在に操り、インターネット通信を常時監視しているかの如き、超越的な謎の監視者』の存在を示唆するものでもあった。
浮き彫りとなった異常を前に、家族を守るべく戦線を離脱する徹平、遠ざけられた由奈、空回りする環、じっと見守る義光。
そして、アリエルを送り出すべき現代社会もまた、中田忍を苦しめる。
いち現代人として、いち地方公務員として、目を逸らすことのできない人類の闇が、アリエルの自立を目指す忍の前に横たわる。

そして、ある真夜中。
完全体異世界エルフの装いとなり、己の前に立つアリエルを前に、忍はぽつりと呟く。

「さよならのためか」

「ハイ」

敵は現実。
逃れ得ぬ現実。
夕闇迫る江の島シーキャンドルの頂上で忍を襲う、前代未聞の「悪徳」とは。

打ち寄せる新たな波紋は、忍から何を奪い、何を与えるのか。
異世界エルフ×地方公務員×群像劇、開花の第四幕!!

公務員、中田忍の悪徳 (3)

公務員、中田忍の悪徳 3 (ガガガ文庫)

 

2人目のエルフが登場!?ということでしたが蓋を開けたら、そういうことかと納得。

アリエルの仲間と思いきや、アリエルの羽を見つけることで、エルフの存在を確信する環が登場。

新しく登場した環の背景を想うと泣けてくる。

辛い生活を送っていた環にとっては、エルフという存在は縋りたくなる存在だった。

忍と環の探り合いは悲しい現実と向き合うものだったが、互いにとっては自身の気持ちと折り合いをつけられるために必要だった。

 

そして、忍が様々な葛藤を経て、変わっていく様子もじんわりと来ました。

忍の中でアリエルとの距離感も変わり、関わり方も変わっていくのが楽しみ。

今まで通りではない日々は様々なハプニングがありつつも、嬉しい発見の連続で良いですね。

仲間も集まってきて、今後どうなるのだろうか。

 

 

俺は二人目の異世界エルフを見殺しにする。

年の瀬も押し迫るころ――。
壁、電柱、道路、市内のそこここに魔法陣のような謎の紋様が落書きされる奇妙な事件が頻発していた。
そしてその落書きは、アリエルが忍たちに描いてみせた紋様と酷似していた。
SNSによって伝播していく魔法陣の画像の出現時期と、アリエルの来訪時期がほぼ一致することから、忍たちは“二人目の異世界エルフ”の存在を推測。
だが、我らが中田忍は、

「俺は、二人目の異世界エルフを保護するつもりはない」

と、二人目の異世界エルフを見殺しにすることを宣言する。
自分たちがこの件に深入りし目立った行動を起こすことで、アリエルの存在までもが脅かされる可能性を危惧したのだが……。

――12月30日。
落書き騒動がついに全国ニュースへ取り上げられてしまったため、行政の手抜きを糾弾されないよう、市長の一声で区民の防犯パトロールに区役所職員も参加することになる。
私人でなく公務員として“魔法陣事件”に干渉する権利を得た忍は、真相を探るべく動き始める。

“二人目の異世界エルフ”が巻き起こす、新たな騒動。激情と勝負の第三幕!

陽キャになった俺の青春至上主義

陽キャになった俺の青春至上主義 (GA文庫)

 

これは新たな青春ラブコメだ。

陽キャ陰キャ、問わず仲良くなって、その枠組みそのものと向き合っていく様子はまさにそう。

序盤は軽いラブコメで、中盤以降に陽、陰という個人の性質について掘り下げていく。

軽い雰囲気で、ズイズイ進んでいく展開が良いですね。

会話がとにかく面白くて楽しい。関係性もよく描けていて、陽キャ陰キャ構わず仲良くなっていくのが良い。人は人だから、その人らしくあれたら良いんだよね。笑いでシリアスを中和しているのは流石だなと。

 

続編はどうなるか楽しみです。

 

陽キャ】と【陰キャ】。
世界には大きく分けてこの二種類の人間がいる。
限られた青春を謳歌するために、選ぶべき道はたったひとつなのだ。
つまり――モテたければ陽であれ。

陰キャの俺、上田橋汰は努力と根性で高校デビューし、陽キャに囲まれた学校生活を順調に送っていた。
あとはギャルの彼女でも出来れば完璧――なのに、フラグが立つのは陰キャ女子ばかりだった!?
ギャルになりたくて髪染めてきたって……いや、ピンク髪はむしろ陰だから!

GA文庫大賞《金賞》受賞、陰陽混合ネオ・アオハルコメディ!
新青春の正解が、ここにある。