羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

ジャナ研の憂鬱な事件簿5

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (5) (ガガガ文庫)

(内容)

海新高校ジャーナリズム研究会の啓介と真冬。「真実」への向き合い方の差からすれ違ったまま、真冬はもうすぐ卒業を迎える。啓介は、ユリの提案でかつてのソ連強制収容所で起きた「クリスマスイブの奇跡」について調べることに。その過程で自分の変化を自覚し、真冬がいかに大切な人だったか理解する。「真相」を目の当たりにした啓介は、果たしてどう動くのか?(「ロシアン・ウィスキー・ホーリーナイト」)人気シリーズついに完結!切なく美しい余韻を残す「消えた恋人」「ジャナ研の憂鬱な事件簿」など三つの短編を収録。


(感想)

ジャナ研シリーズ最終巻。


前巻の意見のすれ違いの影響だから仕方ないが、もう少し啓介と真冬の時間を描いて欲しかったのが本音ですかね。せっかくの最終巻なんだから、主人公とヒロインの繋がりを実感したいんですよ… ともあれ、上手くまとまった内容となっていて、真冬から離れてる間に啓介は悲しい謎にあたりながらも、前進していて、真冬と向き合う良い流れでした。

ただ、最後ですよ!啓介のヘタレ〜って言うか、読者が"モヤモヤ"しますよ!ちょっとしこりの残る終わりでしたが、青春ミステリーとして楽しめるシリーズでした。彼、彼女らのこれからに幸よあれ。


先生の次回作を待ちたいと思います。

ファイフステル・サーガ3 再臨の魔王と草原の灰エルフ

ファイフステル・サーガ3 再臨の魔王と草原の灰エルフ (ファンタジア文庫)

(内容)

かつて魔王戦役にて魔王軍に与した灰エルフの子孫たちが、“魔王の左腕”を奪還すべく五芒国へと再び侵略を開始する。灰エルフたちの鍛え抜かれた弓の腕と馬術によって、フライスラントの地に多くの血が流れ、兵たちが敗北を重ねる戦況にカレルが、ヴェッセルが動き出す―。「心に正直になれ。どうして欲しい?一晩中これを続けて欲しいのか?」灰エルフ族長のひとり“天秤の担い手”ギルセリオン。圧倒的な武と、女を堕とす術を持つ新たな英雄は、来るべき『セシリアの死』を起こす元凶か、それとも未来を変える存在か―。かくして歴史の表舞台に英雄は揃う!

(内容)

今回は一冊の半分くらい、敵の灰エルフであるギルセリオンに焦点を当てていて、読みづらかった。自分の苦手な描写もあり、読むのやめようと思いましたが、この先、カレルにボコボコされるのを考えて耐え抜きました。


中盤より後はカレル視点の話。

やはりカレル側だと、面白い!

カレルとセシリアがいるだけで安心感が凄くて、最後まであっという間に読めました。

ヴェッセルとの絡みも面白く、カレルにはヴェッセルの本心は読めないから、読者からすると利用されかるぞ!と教えたくなる笑


また、ミーリエルやコルネリウスのこの先を気になることを示唆されていて、続きが気になる繋ぎな巻でした。



あとがきを読んだら、こんな理不尽あるかよと思いましたが、読者は読むことでしか作者に答えられません。歯がゆいですが、この先のカレル達の物語が続くよう、祈ってます。

涼宮ハルヒの溜息 角川文庫

涼宮ハルヒの溜息 (角川文庫)

(内容)

「世界が普通すぎる」という悩みを解消するため、涼宮ハルヒが立ち上げた謎団体SOS団。その目的は宇宙人未来人超能力者を探し出して一緒に遊ぶことだが、すでに宇宙人(以下略)の不思議的存在に出会っていることにハルヒは気づかない。活動目的を果たせないまま、来る文化祭でハルヒが映画を上映すると言い出した。撮影中俺たちは、ハルヒの思いつきで起こる世界改変に振り回されて―!?

(感想)

文化祭の出し物として、SOS団は映画を作ることになり、ハルヒに振り回される面々。小泉、長門、朝比奈さんは各勢力の都合で、あまりハルヒに口出しできないから、言う通りに動くしかないのは辛すぎる。ただ、そこはキョンがはっきりとハルヒに怒るのは主人公だよなと。

随分とフラストレーションが溜まる展開でしたが、結局のところハルヒキョンとの距離を近くに置いて勘違いしてたっていうね。


仲直りする為にハルヒに歩み寄るキョンが不思議な格好良さがあって、やっぱりハルヒの隣にはキョンが必要なんだと感じました。


ハルヒという台風をどう導いていくのか、見ものですね。

キミの忘れかたを教えて

キミの忘れかたを教えて (角川スニーカー文庫)


一度諦めてしまった。投げ出してしまった。

松本修が大学を中退し、実家に帰ってきて、腐っていたところから立ち上がり、再生する物語。


腐っていたときに故郷に戻り、昔やってしまった過ちと向き合い、以前から付き合っていた人たちに助けられて、何かを成し遂げようとする物語が好きです。

そして、幼馴染の鞘音との確執を抱えながらもいちゃつくの良いです。甘々な2人がぶつかり合う最後は盛り上がりました。

 

また、修と鞘音以外のキャラも良いキャラしてて、引き立て役に収まらない活躍をしてました。


1巻はプロローグ的な内容なので、2巻を楽しみにしてます。

その白さえ嘘だとしても

その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)

その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)


階段島シリーズ第2巻。


階段島シリーズの中で一番印象深いといっても良いお話。クリスマスが近づく中、階段島に問題が発生し、主要人物たちが様々な想いが交差しあう流れが好きです。最終的に一本の線になっていて、ただただ驚きます。1回目読んだ時から時間が経って、再読したら佐々岡や水谷の語りが素直に頭に入ってきました。

佐々岡のヒーローへの想いや水谷の心情がよく伝わってきて、胸を打たれました。思春期を過ぎたら捨ててしまう感情を大切にもってたらなと思う。難しいかな。


そして、真辺のちょっとした成長が微笑ましいし、可愛いと迂闊にも思いました。


七草は罪な男だなと思いました。


さて、魔女の正体が明らかになって、これからどうなるかな〜

君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部

君と漕ぐ: ながとろ高校カヌー部 (新潮文庫)


武田綾乃作品。


女子高校生がカヌーという競技に様々な角度から、色々な考え方を持って挑んでいて、なんの部活をやっていても現れる天才や実力を発揮する難しさにぶつかる。そして人間関係も葛藤が渦巻いていて、素人でも明るい舞奈が癒しになってます。

今巻だけでもまとまっていますが、これからが楽しみですので、続きも読みたい。舞奈の公式戦も見たいし。

心理描写が良くて、カヌーという知らない競技でも飽きることなく、物語に没頭出来ました。ただ、カヌーという競技を頭で想像し切れないことか残念だった。




ユーフォで作者を知りましたが、こういう人間関係の隙間や感情の表し方などに長けていて、凄い濃密な作品でした。自分は好きですね。こういうの。

作者の他作品にも興味が湧きました。

ヘタレな僕はノーと言えない

ヘタレな僕はノーと言えない (幻冬舎文庫)


筏田かつら先生の甘い、そしてちょっと辛い恋の物語でした。


社会人の県庁職員・浩己と凄腕の職人・彬が仕事の関係から休日お手伝いに行き、関係を育み、次第に恋に落ちる。


1巻完結だから駆け足気味な展開で、もっと話を広げられるんじゃないかと惜しい気待ちが強いです。この作者なら上下巻で出して欲しかった。ただ、気になるところはあるけども、充分に楽しめる1冊になってると思います。

冒頭の昔2人が合っていたシーンが見事に回収されたり、浩己が段々と想いが膨れ上がっていき、溢れる終盤は一気に読めます。


恋に飢えている人、是非手にとって読んでいただきたい。


一筋縄にはいかない恋をどうぞ。