羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?7時間目

教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 7時間目【電子特典付き】 (MF文庫J)


天神の塾講師としてではなく、作家としてどうなりたいのか。

物語の価値に悩みながらもたどり着いた結果には暖かくなりました。

届けたいターゲットを明確にしないと埋もれてしまうし、戦略を練らないと売れない。どんな方法を試しても良い。だけど、それ以上に読者の顔を考えないといけない。素晴らしい結論だなと。

ようやく作家として前に進めそうですね。

面白いだけでは売れないから、作家は悩むんだ。リアリストな編集者と接していくうちに嫌でも現実と向き合わなければならなくなったが、必要な過程だったと思います。

作家としてモヤモヤした感情を抱えていた天神の気持ちが晴れて良かったです。

これからは大丈夫だ。

ただ、天神が星花に話そうとしていたが話せずにいた真実がひょいと明かされるのはびっくり。

フラグはあったが、タイミングが最悪。

これからどうなる。


冬燕は妻みたいな立ち位置でしたがこれから殻を破るのが楽しみです。

うじうじした感情を払えるような出来事が起これば良いんだが。


星花は天神が苦しいときに助けにきてくれる。そんな彼女との曖昧だった関係はしっかり話さないといけなかったんだろう。


次巻が楽しみだ。



(あらすじ)

「わたしは、このお話が、読みたかった」 
――『教え子』の物語をついに描いた天神。 
その新作の宣伝のため、担当編集者から提案されたSNS運用を始めるが、一向に認知が高まらない。 
ヤヤにアドバイスを求めたところ、天神の自宅にて疑似新婚生活(!?)を送る冬燕と、予測可能回避不可能なご対面を果たすことに。 
たちまち勃発する大惨事冬ヤ大戦―― 
「もう、天くんとキスした?」 
「……は?」 
「ヤヤは毎日ちゅっちゅしてる」 
「はあああ!?」 
挙句の果てには、星花と冬燕とヤヤの三人娘が、なぜか揃って動画に出演することになってしまい……? 
これは“才能の話”ではない。もっと根源的な、物語の価値についての話だ。



僕たちにデスゲームが必要な理由

僕たちにデスゲームが必要な理由 (メディアワークス文庫)


表紙や推薦文に惹かれて読みました。

佐野先生、松村先生が推すなら合うんだろうと思いましたが、見事にページをめくる手が止まらなかったし、スリリングなようで優しさの積み重ねの展開は見事でした。

大人が決めたルールに従わなければならない子供達の行き場のない気持ちを夜の公園の死なないデスゲームで晴らしていく。

自分とは違うけど、悩みを抱えている子供達同士の関わり合うことで、解消していく。

仲介の人の接し方もとても優しくて、これは良いですね。

主人公が相手に寄り添える感受性だからこそ、この物語は優しくなったんだろうな。

主人公が殻を壊し、気持ちを吐き出したシーンには胸が熱くなりました。

ぶつかり合うことを手段から捨てないのは大切なことですね。


何かしらに抑圧されて悩みを吐き出せずに、抱えこんでいる子供達の背中をそっと押すような作風でした。

デスゲームが必要な理由には納得しました。

いつかデスゲームがなくなればいいんだろうけど、どうかな。


設定、キャラクター、文章、展開、どれも丁寧な読みごごちでした。


(あらすじ)

衝撃と感動の問題作、第26回電撃小説大賞「隠し玉」デビュー! 

生きづらさを抱える水森陽向は、真夜中、不思議な声に呼ばれ、辿りついた夜の公園で、衝撃の光景に目を見張る――そこでは十代の子ども達が、壮絶な殺し合いを繰り広げていた。 
夜の公園では、殺されても生き返ること。ここに集まるのは、現実世界に馴染めない子ども達であることを、陽向は知る。夜の公園とは。彼らはなぜ殺し合うのか。 
殺し合いを通し、陽向はやがて、彼らの悩みと葛藤、そして自分の心の闇をあぶりだしていく――。 

「生きること」を問いかける衝撃の青春小説に、佐野徹夜松村涼哉、大絶賛!! 
衝撃と感動の問題作、第26回電撃小説大賞「隠し玉」デビュー。 

このぬくもりを君と呼ぶんだ

このぬくもりを君と呼ぶんだ (ガガガ文庫)


やがて君になるの仲谷さんがイラストというだけであらすじを読まずに反射的に買いました。

勝手な思い込みですが、学園で暖かい作品かと思ってたので、無機質な世界観に驚きました。

そんな味気ない世界でみんなは違和感を感じることなく暮らしていて、その中で主人公のレニーは異物感を拭えずにいる。

周囲の当たり前にげんなりしているときにレニーは周りに受け入れられなくても自らの芯を持っているトーカと出会って、彼女から目を離せなくなる。


レニーとトーカの各視点で見えるからこそ、徐々にすれ違っていき、迷路に迷い込んでいく2人がもどかしく感じます。だが、その上手くいかない感情の揺れを、醜いものも晒していくことで最後に繋がっていくのが良いですね。

隣の芝生は青いというが、互いに相手に理想を感じていて、そのバイアスから抜け出すのは大変だ。


虚しい現実と戦ったレニーとトーカがぶつかり合っていくことで開けた道は応援したくなりました。


(あらすじ)

繋いだ手のぬくもり。これはきっとリアルだ 
「この雨も、風も、空も全部。もうずっと昔に地上にあったものを再現してるだけ。ただのフェイクじゃん」 
有機ディスプレイは偽物の空を映し、人工太陽の光が白々しく降り注ぐ地下都市『Polis-UK8』。この全てが人の手によって作られたフェイクタウンで生きる十六歳の少女・レニーは、周りに溢れるフェイクを嫌い、リアルな『何か』を探している。 
そんなレニーが出会ったのは一人の少女・トーカ。サボリ魔で不良少女たるトーカに、レニーは特別な『何か』を感じ、一緒の時間を過ごすようになる。 
ある日、レニーの前に空から謎の球体が降ってくる。まるで太陽のように真っ赤に燃えていた小さなそれを、レニーは『太陽の欠片』と名付け正体を探ろうとする。 
一方その頃、トーカの方でも何やら変化が起こっていて、二人の日常は音を立てて崩れ始めていく―― 。 
「きっと隣にレニーがいるから――こんな毎日なら、あたしは悪くないと思えるんだ」 
いつかトーカが言った言葉。あれはフェイクだったの? それとも――。 
第14回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作! 
地下都市に生きる二人の少女のリアルとは――ガールミーツガールから動き出す、青春SFストーリー! 



君はヒト、僕は死者。世界はときどきひっくり返る

君はヒト、僕は死者。世界はときどきひっくり返る (ガガガ文庫)


スニーカー文庫でデビューした作者がガガガ文庫にも登場。

暗い雰囲気の世界の片隅を照らすような作品でした。


主人公のデッドは死者。ヒロインのファイはヒト。これは確かな壁となっていて2人の関係の試練になっていた。

天獄ではデッドは生きられないし、地国ではファイが生きられない。

2人は離れないといけないのか。

2人は納得して別れられるのか。

デッドとファイの関係の築き方が丁寧、というか関係こそ大事な作品ですが、2人のままならない感情の揺れ動きが描かれていて、最後の互いの決断には胸が熱くなりました。

逃避行物語として最高でした。

幸せになってほしいです。


中盤から重たくなりますが、前半のコミカルなやりとりも癖になるものがありましたので良かったです。

デッドとファイの出会いの頃のジタバタした感じはにやけてしまいます。


独自な世界観で織りなしているので、他では味わえない読後感になっているので是非多くの人に読んでほしいです。




(あらすじ)

交わることのない、君と出会った。 
天空に浮かぶ「世界時計」を境に分かたれた「天獄」と「地国」。地国で暮らす死者の僕はある日、常夜の空から降ってくる彼女を見つけた。 
一目見た瞬間から僕はもう、恋に落ちていた。 

彼女の名前はファイ。僕の名前はデッド。 
彼女はヒトで、僕は死者。だからこの恋は、きっと実らない。 
それでも夜空は今日も明るい。 
二つの世界の引力バランスがひっくり返る「天地返り」の日まで、僕は地国のゾンビから彼女を守り、そしてきちんと「さよなら」を告げる。 
これはやがて世界を揺るがすことになる、相容れない僕たちの物語だ。 
第14回小学館ライトノベル大賞・ガガガ賞受賞作!! 


現実でラブコメできないとだれが決めた?

現実でラブコメできないとだれが決めた? (ガガガ文庫)


ブコメ好きな主人公・長坂耕平が現実でラブコメを実現するために際どい調査(犯罪)やデータ(偽造)を武器に熱苦しくて馬鹿馬鹿しい理想に挑む姿に不思議と惹かれていきました。耕平の熱量は作品の持つポテンシャルに繋がりますね。

また、軽い作風かと思ったら、中盤から耕平のラブコメを目指した理由や上野原彩乃がどうして耕平と共犯にいたるまでの過程が明かされてから良い意味で重さが増してきて、良い締めくくりでした。

耕平だけでなく、ヒロイン達の描写もあり読み応えがあります。

まさかのヒロイン同士の腹の探り合いも混ぜられていて、ラブコメ実現は厳しそうだが、耕平の予測不能な行動力ならと期待したくなります。

共犯者の彩乃とどうラブコメを作り上げていくのか楽しみです。そして、いつまで彩乃が共犯者という立場に収まるのかも見ものです。

メインヒロインの清里芽衣がどう動いていくのかも気になります。

周りの男達や生徒会の日野原幸先輩も何かありそうで、キャラクターもそれぞれ魅力的です。

伏線の回収やキャラクターの背景も練り上げられていて好きな作品になりました。


ガガガ文庫の引き継がれる青春ラブコメの系譜。

今後も楽しみなラブコメですね。


(あらすじ)

データでつくる最高の理想郷(ラブコメ)! 
「ラブコメみたいな体験をしてみたい」 
ライトノベルを嗜むすべてのラブコメ好きは、一度はこう思ったことがあるのではないだろうか? 
ヒロインとイチャラブしたり、最高の友人達と充実した学園生活を送ったり。 
だが、現実でそんな劇的なことが起こるわけもない。 
義理の妹も、幼馴染も、現役アイドルなクラスメイトもミステリアスな先輩も、それどころか男の親友キャラも俺にはいない。 
なら、どうするか? 
自分で作り上げるしかないだろう! 
ブコメに必要なのは、データ分析と反復練習! そして―― 
第14回小学館ライトノベル大賞、優秀賞受賞作。 
ライトノベルに憧れた俺――長坂耕平(ながさかこうへい)が、都合良くいかない現実をラブコメ色に染め上げる! 


やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく

やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく (GA文庫)


クールを装っているが中身はチョロいヒロイン・小雪が人のちょっとした情報から相手を察してしまう主人公・直哉が出会うことで始まるラブコメ


互いに周りの人と壁を作ってしまう性格だがこの2人は相性が良く、気持ちを隠さないでいられる関係なのが良いですね。

周りの友人、家族、知り合いもみんな優しくて、困っていたら助けてくれる優しい世界。


直哉が最初は何も困らないタイプかと思ったが、初めて出会った好きという感情と向き合っていく姿は立派でした。



(あらすじ)

白金小雪。美少女だが毒舌家で「猛毒の白雪姫」と呼ばれる彼女をナンパから救った笹原直哉は、彼女が強がりと嘘で武装しただけのか弱い少女に過ぎないことを知る。 
颯爽と助けてくれた直哉に一目惚れした小雪と、小雪のいじらしい態度に一目惚れした直哉。素直になりきれない二人は、お互いの「好き」を確かめるために少しずつ心を通わせていく。 
WEB小説発、ハッピーエンドが約束された、甘々ラブコメディ。 


灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって

灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって (オーバーラップ文庫)


ソウマやトッキーズ達に巻き込まれて、大規模戦闘に参加するハルヒロ達。

ちょっとずつだけど、揉まれながら成長してるな。

今回はとにかく戦闘の連続で落ち着きようがなかったが、どんどん世界観が広がっていくので、ついていくのに必死になります。


ソウマさんや他の強いキャラを見る限りだと、強くなる人は死なないことが大事というのはなるほどなと。

ハルヒロは長生きして、強くなっていきそうなタイプですね。



(あらすじ)

ハルヒロたちが発見した「黄昏世界」は新たな狩場として注目を集めていた。ハルヒロたちも、以前は逃げるしかできなかった白い巨人を撃退し、安定した稼ぎを得られるまでになっていた。しかし、あるクランの行動がきっかけで「黄昏世界」の危険度が跳ね上がってしまう。そんななか、以前に加入した「暁連隊」のリーダーであるソウマと再会したハルヒロたちは、なし崩しに複数のクランが参加する、大規模なミッションに加わることになる。精強な義勇兵たちと共に戦うことで、ハルヒロは何を見て、何を思うのか―