羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

さよならの次にくる<新学期編>

さよならの次にくる〈新学期編〉 市立高校シリーズ (創元推理文庫)

 

卒業式編からの続きで新学期。

伊神さんが卒業してこれからは出てこないのかなと思っていたらがっつり出てくるのは名探偵の宿命ですかね。

 

新キャラの佐藤さんが明らかに怪しいが葉山くんからしたら気づかないものだね。

佐藤さんはかなり頭が切れていたから仕方ない。

一つ一つの話も楽しめるようになっていましたが、終盤に各話に潜んでいた伏線が回収されていき、全てが明かされるときの興奮が凄かったです。

卒業式編から挟まっていた断章や細かな部分まであとになって効いてくる構成になっていて、非常にスッキリした読後感に繋がっていました。

伊神さん家の落書きはグッとくるものがありました。

伊神さんの人間味が感じられて、より好きになりました。

 

伊神さんの推理は相変わらずですが柳瀬さんのただ者ではない感も良い。ただ恋愛方面は不器用みたいですが。笑

佐藤さんに末恐ろしさを感じつつも年相応な素顔にはほっこりしました。

 

葉山くんは落ち込む展開でしたが最後の最後に手柄をあげたので良かったですね。

 

名探偵の伊神さんは卒業、葉山君は進級、そして迎えた新学期。曲がり角が衝突したことがきっかけで、可愛い一年女子の佐藤さんと知り合った。入学以来、怪しい男に後をつけられているという佐藤さんのために、葉山君はストーカー撃退に奔走することになる。苦労性の高校生・葉山君の、山あり谷ありの学園探偵ライフ。爽快なフィナーレまで一気呵成に突き進む学園ミステリ、後編。

さよならの次にくる<卒業式編>

さよならの次にくる〈卒業式編〉 市立高校シリーズ (創元推理文庫)

 

2作目にして伊神さんが卒業するというのは驚きました。

また、その伊神さんの卒業式後葉山くんが追いかけていくのは青春だなと思いつつ、消えた伊神さんという謎もあり一筋縄にはいかないあたり伊神さんだなぁと。見つけるまでに伊神さんの昔話を知っていき、より距離が近づいてから離れていくというのは良い塩梅だったんじゃないかな。

それ以外にも葉山くんの初恋が絡んだ、1.2話はミステリーとしてはもちろんですが青春要素が上手く絡まっていて素晴らしいです。余韻が残る引きなのがまた良い。

柳瀬さん親娘やミノ、そして1巻に登場した立花さんなど葉山くんとの絡みが非常に愉快で楽しめます。

3話は意表を突く内容で、憎いですね。

 

新学期編に続く内容なのでセットで読むと良いですね。

 

「東雅彦は嘘つきで女たらしです」愛心学園吹奏学部の部室に貼られた怪文書。部員たちが中傷の犯人は誰だと騒ぐ中、オーボエ首席奏者の渡会千尋が「私がやりました」と名乗り出た。初恋の人の無実を証明すべく、葉山君が懸命に犯人捜しに取り組む「中村コンプレックス」など、「卒業式編」は四編を収録。デビュー作『理由あって冬に出る』に続くコミカルな学園ミステリ、前編。

男女の友情は成立する?(いや、しないっ‼︎)Flag1.じゃあ、30になっても独身だったらアタシにしときなよ?

男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 1. じゃあ、30になっても独身だったらアタシにしときなよ? (電撃文庫)

 

発売当初はスルーしてましたが評判が良いので読みました。

タイトルのまんまな内容で男女の友情は成立するのかといったところで、予想通り成立しなくなりましたね笑

一度決めたなら貫き通せと思うかもしれませんが、中学生の約束なら揺らいでも不思議ではないですし、よく2年も親友関係でいられましたね。

 

家族公認の仲である主人公・悠宇とヒロイン・日葵は距離が近くて男女の親友関係を維持するのが難しいなって悶々としていくのは非常に魅力的でした。いまさら好きになっても相手は友達と思っていると互いに考えてすれ違っていく気持ちは焦ったくもなりますが、ままならない青春って感じで非常に楽しめました。

 

悠宇の初恋相手である榎本が登場して、悠宇と榎本がもしかして運命を感じて好きになってしまうんじゃないかと不安になる日葵の心境が辛いですが、未熟な見通しの甘さを感じて、日葵も完璧ではないんだなと好きになりました。

万能で偉いと思っている日葵が恋には不器用な感じは良いです。

悠宇は悠宇で分かりづらいし認めたがらなくてしょうがないですね笑

 

悠宇と日葵の心境の揺れ動く模様を作品に落とし込むのが上手くて凄く楽しめました。

 

続きで恋にすんなりいくとは思わないですがどうなるのか期待です。

 

サブキャラというか作中で1番働いていたのは日葵の兄さんでは?というかもっともなことを言っているが、ぶっとんだ悠宇愛に溢れていてキャラが濃すぎます笑

 

とある田舎の中学校で、ある男女が永遠の友情を誓い合った。1つの夢に向かい運命共同体となった二人の仲は――特に進展しないまま2年の歳月が過ぎる……!
未だに初恋がこない陽キャ女子・犬塚日葵と、花を愛する植物男子・夏目悠宇は、高校2年生になっても変わらず、二人だけの園芸部で平和に親友やっていた。
「悠宇が結婚できなかったら、アタシが責任取ってやんなきゃねー」「日葵がそれ口走ってから、おまえの兄さんが『義弟くん!』って呼んできて辛いんだけど」
ところが、悠宇が過去の初恋相手と再会したことで、突如二人の歯車が狂い出す!? 果たして恋を知った日葵は〈理想の友だち〉脱却なるか?

完パケ! 文庫

完パケ! (講談社文庫)

 

映画作りに熱を注ぐ青春物語で、ただ明るいだけではなく心の隅にこびりつく気持ちも掘っていて、感情が揺れるような作品でした。

主人公は2人いて、切実に映画に力を入れられる安原と器用で優秀な北川が手を組んで相乗効果を生んでいて良かったです。

最初は北川が監督で安原がサポートするのかと思いましたが、反対だったのは予想外でしたが読み進めていくと理由が分かります。

 

安原が切実に映画作りに命を削っていくのが怖いですが、なぜそこまでしがみつくのかが明かされて北川も覚悟を決めて動き出す終盤は胸が熱くなりました。

安原の母への気持ちを創作に繋げていくのはまさに業を歩んでいくが側に北川がいるなら大丈夫だと思える終わりで、明るく締められていたのはホッとしました。

 

 

たった一つのことにすべてを賭けた、あの輝かしい日々。

経営難で閉校が噂される武蔵映像大学で、卒業制作のドラマ映画を撮れるのは、たった一人。感覚の安原と理性の北川。お互いの才能を認め合いながらも性格がまったく合わない二人は、同じ題材を使ってコンペで勝負をすることに。撮影は、前途多難の幕開けとなったが――。

僕が答える君の謎解き 明神凛音は間違えない

僕が答える君の謎解き 明神凛音は間違えない (星海社 e-FICTIONS)

 

連れカノの作者が描くラブコメとミステリーを絡ませた好きなものが詰まっている感じがして良かったです。

帯に書いてある通り本格ラブコメ本格ミステリを織り混ぜられていて、1冊で甘々の喧嘩っぷるみたいな関係としっかり突き詰められている謎の過程が楽しめて、お得な作品でした。

 

ブコメ、ミステリー、好きには是非読んでほしいです。

主人公の伊呂波の確証を得るまで段階を踏んでいく姿勢はちょっと気になるかもしれないが彼の背景にある出来事や信念が明かされるので気にならなくなります。

事件などで犯人をすぐ閃いてしまう明神は過程がわからずに結果を優先してしまうが、そこは伊呂波と上手くバランスが取れています。周りに馴染めない明神だが伊呂波が明神が出した結論を理由づけしていく過程で情が芽生えていき、距離が近づいていくと彼女の素が見えて可愛いです。

 

最初の2話はユーモアある雰囲気でしたが最後は真実を明かすという行為は必ずしも良いものではないという厳しい現実が投げられましたが、どうにか立ち直ってほしいです。

 

影が薄かった伊呂波と明神のクラスメイトの紅々峰だが最後に気になる引きで終わったので、彼女がどう動いていくのか楽しみです。

 

今後が楽しみなシリーズです。

 

本格ラブコメ×本格ミステリ、開幕!

生徒相談室の引きこもり少女・明神凛音は真実しか解らない。
どんな事件の犯人でもまるで神様の啓示を受けたかのように解ってしまう彼女は、無意識下で推理を行うため、真実に至ることができた論理が解らないのだった。
伊呂波透矢は凛音を教室に復帰させるため、「彼女の推理」を推理する!

『継母の連れ子が元カノだった』の紙城境介が紡ぐ新たなる勝負作!

霊視刑事2 雨空の鎮魂歌

霊視刑事 夕雨子2 雨空の鎮魂歌 (講談社文庫)

 

1巻が死者と話せて、事件を追っていくのが珍しく映りましたが、今巻は夕雨子と野島が信頼しあっているからスムーズに進んでいるのが逆に物足りなかったです。

とはいえ、1話1話の読み終えた後は死守が報われる落ちになっているので心が暖かくなるのは健在でした。登場人物達が背負っているものに情が湧くように描かれているのは素晴らしいです。


4話目は複雑な終わり方をしましたが、次巻に引っ張る終わりだったので次巻が気になります。

野島の過去を掘り下げる形になっていきそうなので期待したいです。

 

 

 

あなたの声を聞かせてーー

報われぬ霊の未練を晴らす「癒し×捜査」のミステリー!

『浜村渚の計算ノート』『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の著者が放つ新感覚警察小説

彷徨(さまよ)う霊の声を聴く夕雨子と、姉御肌な破天荒刑事野島。素直に真相を語らない霊と、時には協力、時には反発しながら、中野署の名物コンビは霊視と推理で難事件に挑む。ある日、野島が左遷されるきっかけとなった因縁の事件の関係者が行方不明となり。
驚きと癒しが共存するヒーリング刑事シリーズ第二弾!

蒼海館の殺人

蒼海館の殺人 (講談社タイガ)

 

紅蓮館の殺人の続巻である蒼海館の殺人を読みました。

紅蓮館の殺人が好きで続きを楽しみにしていましたが、まさか600P超えのミステリーを出してくるとは笑

序盤は葛城が紅蓮館の最後に飛鳥井さんと交わしたことがきっかけで塞ぎ込んでいて、非常にもどかしい気持ちになりました。また、田所も勝手な気持ちを抱いていてこちらにもなんでそう言ってしまうんだという未熟さがあり、中々晴れやかな気分にはなりづらかったです。

ただ、事件が起きてからはそれどころじゃなくなりますが葛城が探偵として動かなくなっていて、どうやって立ち直るのか気になりましたがきっかけは本当に笑ってしまいたくなることでしたが、すんなり納得してしまうことでした。

 

葛城が立ち直ってからは怒涛の推理で解決まで一直線で爽快でした。

謎としては複雑に絡まっている葛城家の裏側やトリックが重なりあっていて、解くのが非常に難しいと思いました。

犯人が行っていた工作や誘導が非常に巧みでさっぱり分かりませんでした。

だからこそ、犯人を炙り出していく葛城の対話や仕掛けには納得のいくものがあり、スッキリしました。

とはいえ最後の葛城の叫びには辛くもなりましたが、田所と一緒にいるならば大丈夫だと思いました。

 

また続きが読みたいシリーズです。

 

 

学校に来なくなった「名探偵」の葛城に会うため、僕はY村の青海館を訪れた。

政治家の父と学者の母、弁護士にモデル。
名士ばかりの葛城の家族に明るく歓待され夜を迎えるが、
激しい雨が降り続くなか、連続殺人の幕が上がる。

刻々とせまる洪水、増える死体、過去に囚われたままの名探偵、それでも――夜は明ける。
新鋭の最高到達地点はここに、精美にして極上の本格ミステリ