羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

密室は御手の中

密室は御手の中

 

阿津川先生かデビューしたきっかけと同じということと、密室、名探偵と助手の関係を掘り下げているとあっては読まずにはいられなかったです。

 

密室、名探偵と助手、このワードが好きな人には突き刺さるミステリーになっていました。二つの要素が好きな自分は大満足です

阿津川先生の作品が好きな人は今作もハマると思う。

 

宗教団体に名探偵・和音が潜入して、事件と遭遇する。

そこで教祖・密に助手を頼まれる。

2人で事件を追っていくが、密室の謎を解いていくのが困難で、様々な推理が浮かんでくるが中々犯人が尻尾を出さないのは見事。

何層にも謎が組み込まれているようで、最後の最後まで気が抜けないようになってました。

 

また、宗教が絡んでくるが、上手く物語に組み込まれているのが良いですね。

そんな出来事があるのか?と疑ってしまうことも裏にあった真相にはただ呆然となりました。

 

終盤の名探偵と助手が犯人と対峙するところの推理は互いに引かず、思考の対決って感じで夢中になりました。

 

また、和音と密のタッグの物語が読みたいです。

 

 

事故によって弱体化した新興宗教『こころの宇宙』。瞑想中の修験者が密室をすりぬけ、山中で発見されたという逸話が数少ない拠り所だった。新たな密室殺人が起きるまでは――。第一期デビューの阿津川辰海のブレイクで注目を集める新人発掘プロジェクトKappa-Two、その第二期デビュー作。大胆なトリックと偽名の探偵の推理力に瞠目せよ!

虚構推理 逆襲と敗北の日

虚構推理 逆襲と敗北の日 (講談社タイガ)

 

刊行ペースが上がっていて嬉しい限り。

今回も虚構を作り上げるが嘘はついてない琴子の策略に感嘆しました。

夢虚ろな犯人に対して、厳しく現実を突きつけるのはスッキリしました。

珍しく、琴子と六花さんが手を組んで事件に当たったら犯人が可哀想に見えてくる笑

まさに鬼と鬼。

 

六花さんが事件に巻き込まれて容疑者に。

しかし、六花さんはやってない。

無実を証明するために動く。

六花さんがただ巻き込まれたのは考え辛く、裏に何かあると琴子、九郎が探り探りでかつ大胆に動いて、六花と思考対決になってくる。

やはり、六花さんが話に絡んでくると物語が複雑になってきて、落とし所も様々な思惑がこんがらがって絡まっているのがまた、良い。

 

琴子は特別な存在で、九郎と六花がいつかは倒される存在というのが、今後に不安が残る要素ですが、うまくまとめてくれるでしょう。

それにしても、九郎は琴子に対してツンデレだなぁと笑

 

 

<シリーズ累計400万部突破!>

「それは巨大で、凶暴で、獰猛で、何より場違いな幽霊だった」

警察に呼び出された琴子と九郎。二人と因縁深い桜川六花が、奇妙な連続転落死事件に居合わせ、容疑者になっているという。

六花が二人を前に語ったのは、異郷の野獣キリンの霊による殺戮劇だった。琴子たちは彼女の無実を証明すべく調査を始め、事件の背後にある悍ましい「呪い」の存在を知ることとなるーー。

ノースライト 文庫

ノースライト(新潮文庫)

 

単行本時から気になってたが、読めてなかった。文庫化してくれて助かりました。

 

立派な家を建てたが、そこには誰も住んでいなかった。

仲良さげな夫婦、子供が住んでいた形跡がなく、ただ椅子が置いてあった。

その状況からよくぞここまで裏側を練って、今と繋げたなと唸るばかり。

物語のとっかかりがこれで良いのか?となるものでしたが、一家の行方、椅子の出所など調べていくうちに見えてくる真相というのは非常に興味深かったです。

 

最初はどう展開していくのか不安でしたが、中盤以降は読む手が止まらず、真実に近づいていく間に起こる出来事にも心揺さぶられました。

ミステリーだけでなく、父親、家族、お仕事小説要素もあり、全てが上手く絡み合っていました。

なので、読んでいて先が見えなくても読み進めた先に見えていくものというのを追いかけたくなるような感じがしました。

 

最後に明かされた真実には目頭が熱くなりました。

いったいどうなることかと思いましたが、よくまとめきったなと。

 

長い旅に感じましたが、読み終えてみれば彼らの今後も知りたくもなりました。

 

 

 

無人のY邸に、なぜ「タウトの椅子」が残されていたのか?
そして、仲睦まじそうに見えた一家は一体どこへ?
感動を超えた人間ドラマがここにある。

北からの光線が射しこむ信濃追分のY邸。建築士・青瀬稔の最高傑作である。通じぬ電話に不審を抱き、この邸宅を訪れた青瀬は衝撃を受けた。引き渡し以降、ただの一度も住まれた形跡がないのだ。消息を絶った施主吉野の痕跡を追ううちに、日本を愛したドイツ人建築家ブルーノ・タウトの存在が浮かび上がってくる。ぶつかりあう魂。ふたつの悲劇。過去からの呼び声。横山秀夫作品史上、最も美しい謎。

詩的私的ジャック

詩的私的ジャック JACK THE POETICAL PRIVATE S&Mシリーズ (講談社文庫)

 

面白い。

ミステリーとして、歌詞の通り、1人ずつ死んでいく。それも密室で。いったい何が起こっているのか不気味で、最後まで引きつけられました。

密室を作った方法もそうだが、密室にする動機も気になって仕方なかったが、犀川先生の言う通り、動機なんて当事者にしか分からないし分かろうと思うのもおこがましいのかもしれない。

犀川先生は早いうちから犯人、関係者に当たりをつけていて、流石。

犀川先生が犯人だったら、誰にも捕まえられないのではないかな。

 

ミステリーだけでなく、犀川先生と萌絵の関係にも変化が起きて、遂にかとテンション上がりました。一時期離れ離れになったことでうじうじする萌絵の心境は良かったです。

また、犀川先生のうちに秘めた詩的な想いは良いですね。

 

国枝さんが結婚してほんのちょっと変わっているのが見えるのは良いですし、萌絵との会話で見えた彼女の本質というのも惹かれるものがありました。

 

 

 

大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する。

コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎

コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎 (ミステリ・フロンティア 109)

 

あらすじで興味が湧き、読んだが面白かったです。

コージーミステリーというのはあまり読みなれてなかったが、読み進めていくうちにのめり込めました。

探偵ではないが、好奇心を持つそれぞれの大人がカフェであーでもない、こーでもないと議論していく様子が魅力的で、最後に寡黙な店主が謎の真相を当てるという様美式も飽きることく物語に入れます。

店主が話すまでの推理の推移も手堅く、話の行方を最後まで読みたくなる構成でした。

 

作中、ほぼ会話で展開していくのだが、飽きるどころがもっと登場人物の話を聞きたいと思いました。

ミステリーとしてはもちろん全話冴え渡ってました。

会話のちょっとしたところが解決に繋がるので、些細な部分も見逃せません。

 

魅力的な登場人物、日常に起こる謎として絶妙な塩梅、推理を巡らせる楽しさ、魅力的な作品でした。

読み終えても、彼らの会話が読みたくて仕方ないです。

 

各話の締めに挟まれている作者のコメントも味があって、より作品に好きになりました。

 

今作を読んだら、コージーミステリーの有名作に手を出したくなりました。

 

 

昨日行った居酒屋が消えた? 引き出しのお金が四万円も増えていた? 誰も死んでいないのに姉から喪中はがきが送られてきた? ミステリ談義の集まりにひとりゲストをお呼びして、毎回カフェでゆるゆると行う推理合戦。それなりにみんながんばるのだけど、いつも謎を解き明かすのは店主の茶畑さんなのだった。もっと気軽に謎解きを楽しみたいと思っていた皆さんへ贈る、ユーモラスなパズル・ストーリー七編。期待の新鋭のデビュー作。

月光亭事件 創元推理文庫版

月光亭事件 (創元推理文庫)

 

太田忠司先生の作品が気になっていた中、手に取りやすそうな今作を読みました。

 

少年探偵・狩野と犬・ジャンヌが探偵・野上のお手伝いすることに。そんな時に依頼が来て事件に巻き込まれる。

無邪気な狩野の性格に頬が緩む。

ジャンヌの振る舞いにも愛おしさを感じました。

事件の調査で活躍する狩野少年の観察眼は大人に引けを取らないもので、出来過ぎでは?と思ったが、そこに至るまでの理由があり、納得しました。たが、その理由は切ないもので、野上と過ごしていって良い方向にいきますように。

野上が狩野を子供としてだけでなく人としても見ているので、2人の絡みに安心感がありました。

 

緩い雰囲気がありつつ、事件は背景含めて重めでした。その差が巧みでした。

事件の真実に繋がる伏線はありましたが、足りなかったかなという気もしましたが、種明かしでインパクトはありました。

 

続きも読みます。

 

 

引退した名探偵・石神法全の後を継いで探偵事務所を営む野上英太郎の元に、ある日猫を連れた少年が訪れる。卓越した推理力を持つその少年・狩野俊介は、石神との出会いを契機に探偵を志していた。野上は彼を助手として、直後に舞い込んだ依頼―大病院の院長の妻に取り入り、一家の館に居座る奇妙な宗教家の正体を暴くこと―に乗り出すが。少年探偵・狩野俊介シリーズ第一弾。

笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE

笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE S&Mシリーズ (講談社文庫)

 

館モノミステリー。

巻数を重ねて、様々なタイプのミステリー話を読めるのは嬉しいが、今回はあまりにも煮え切らない締めだったのは残念でした。

事件の被害者達や関係者の思惑もハッキリせずにモヤモヤする終わりで、犯人の動機も分からずに締めくくられるのはなぁ…

 

館に仕掛けられた不思議なオリオン像については真相が明らかになるまで分からなかった。

明らかになったら、あぁ!とやられた気持ちになりました。

 

萌絵の友人に振り回される犀川先生に可愛さを感じました。

 

偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、2つの死体が発見され…。犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事件の真相を探る。超絶の森ミステリィ第3弾。