羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

君に恋をするなんて、ありえないはずだった

君に恋をするなんて、ありえないはずだった (宝島社文庫)

 

読んでいるこちら側の胸がドキドキハラハラする純粋な恋物語で久しぶりに読み返しても作品に浸れる良い作品です。

 

目立たない少年・靖貴と美少女の恵麻が最初は互いに心がひらけずにおっかなびっくりに接していたが、些細な交流を続けていくうちに互いの良さが伝わって、心を通わせていく。

周りには内緒の関係で育んでいく。

焦ったくもあるが恋するならば起きる悩みが細かく描かれているので2人の恋を応援したくなります。

ところどころで甘いシチュエーションが挟まっていて、これまた堪りません。

文化祭での思わぬアクシデントや電車での触れ合いなんて素晴らしいです。

靖貴と恵麻のお互いの心境の変化が見えるので早くくっついてほしい。

靖貴は鈍感だけど自分の気持ちに気づけるのは偉い。恵麻は見栄もあるが内心惚れまくりで可愛い過ぎる。

恵麻の友人である久美子が良い立ち振る舞いをしていて、彼女も魅力的な人物でした。

 

上手くいくのかなと思ったら終盤に関係を周囲に隠していたから起きるトラブルや高校生の立ち回りの難で靖貴と恵麻の間に亀裂が入ってしまったのは残念だし、切ない。

やはりこの引きは心にずしんとのしかかってくるものがあります。

 

上下巻構成なので最後まで読みたくなる展開です。憎いほど下巻が気になります。

 

千葉県南総にある県立高校に通う地味で冴えない男子・飯島靖貴は、勉強合宿の夜に、クラスメイトの北岡恵麻が困っているところを助けた。それから恵麻は、学校外でだけ靖貴に話しかけてくるようになった。しかし靖貴は恵麻に苦手意識を持っていて、彼女がどうして自分に構うのかわからない。地味系眼鏡男子と派手系ギャル。絶対に相容れないはずの二人に起きる、すれ違いラブストーリー。

呪術廻戦6

呪術廻戦 6 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

交流会の途中に敵が乱入してきて、勝負ところではなくなったのは非常に残念。

伏黒とか狗巻先輩の活躍が見たかった。

ただ、虎杖と東堂が意気投合して師弟関係みたいになってるのはクスッときました。

竹を割ったような性格の2人だからすぐに意気投合したんだなと。

共闘して、虎杖が殻を破っていくのは素晴らしかったです。

最終的に五条先生がまとめましたが、敵は何か目的を達しているようで、何だったのか知りたいですね。

 

おじいちゃんの武器は予想外でした笑

 

交流会に乗じ虎杖を狙う京都組。そこへ真人率いる呪霊と呪詛師が乱入する。生徒救出に向かう教師陣だが、敵の“帳”により分断され…!? 特級呪霊・花御に襲われた狗巻と伏黒は、危機を脱する事が出来るのか!?

教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?8時間目

教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 8時間目【電子特典付き】 (MF文庫J)

あらすじから察してはいたが最終巻でした。

天神が憧れの作家だと星花にバレてしまったがあっさり流されて、あれ〜となったがそうでしたか。星花はアホキャラですが傷つきますよね。星花をどう捉えているのか天神と他の人達で差が出ていて、なぜ天神は星花に隠したがっていたのか、天神と星花の本音が描かれていて物語としては納得いく最後でした。

 

天神が教え子に対しての気持ちや星花への気持ちがハッキリ見えたのでめでたしめでたし。

塾講師として教えたり、作家として指南したり、様々な面を見せていたが関わった娘達からも教えてもらったり受け取っていたんだなと思うと天神が妬ましいですけど良いなと思いました。

 

最終的に作家として、塾講師として、自分が生きていく道を決められた天神は素晴らしいですね。


毎巻、笑いやシリアスを織り交ぜて展開も簡単には見えない様に工夫されている作品で好きなシリーズでした。


 

 

ついに星花に秘密がバレてしまった天神。だが、そんなことはお構いなしに、小学生たちの受験戦争が始まった。予想外の合否の報に接する天神だったが、その周囲に不穏なオンナの気配が現れて―?「ててて、天神先生のカノジョ!?」「ヤヤたちは二股をかけられていた?」…なわけないだろ。いつものくだらない修羅場は、しかし、いつもと少し違う。星花は芸能界入り間近で、冬燕は将来に目を向けて、ヤヤは海外案件を検討している。巣立ちの時は近く、だれもが変わらなければいけない。あらゆる物事には始まりと終わりが用意され、天神は星花に対してひとつの答えを告げることになる。―これは、子どもが大人になる物語。

2020年 23本目 映画 ジョゼと虎と魚たち

公開されたばかりの映画、ジョゼを観てきました。

期待していたよりも胸にグッと来ました。

ジョゼと恒夫が出会って、関わっていくうちに互いが大切になっていく過程が描かれていて惹かれました。最初の距離があるところから考えると想像出来ないくらいでした。

最初は金を貯めるためにわりのいいバイトとして恒夫は関わっていたがジョゼの境遇や夢を知ってジョゼとの距離が近づいていく。ジョゼも夢を追うことや知りたかったことを教えてくれる恒夫を好ましく思っていくのは自然な流れか。

 

幸せになっていくと見せて、反転する終盤は見事でした。ジョゼと恒夫を思うと辛い。だが、前半から中盤のことが効いてくる構成が上手い。

ジョゼ、恒夫が共に現実に負けてしまうのかとハラハラしましたが、苦しみながらも夢に手を伸ばす2人に胸を打たれる最後でした。

心が洗われるような余韻でした。

 

ジョゼ、恒夫以外の支えてくれる人達の感情も大切でした。

 

アニメーション映画ならではの表現も作品を彩っていて綺麗な映像でした。

音楽も胸に響くものがありました。

素晴らしい作品でした。

 

 

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あの夏、僕らに降った雪

あの夏、僕らに降った雪 (角川文庫)

 

題材から分かっていたことではあったがやはり切ない気持ちになりました。

日に日に無関心なことが増えていく莉子と湊の日々は短かったかもしれないが2人の間にはいつまでも積まれて残っているんだろうな。

莉子の生きる姿を見て、些細なことにも目を向けて感心を向けるのは大事だと実感しました。

好きなものに感心を向けるのは大事ですが、まだ知らないことにも目を向けて感情に刺激を与えるのは大事ですね。

 

湊と莉子のユーモア溢れる会話や表現は良い具合に作品を包んでいました。

湊、莉子の母親やディレクターさん、湊の親戚、周りの人達の優しさや個性も魅力でした。

 

高校2年の夏休み。年齢を偽り、治験のバイトに潜り込んだ湊は、深夜の病棟で莉子に出会う。1日1つ(あるいは1つ以上)無関心なことが増える“無関心病”を患う彼女の、余命は1ヵ月。湊は彼女の闘争ドキュメンタリーに出演することになり、まだ興味があるものを全力で楽しもうとする莉子と共に北海道の夏を満喫する。自分とは真逆の明るくアクティブな莉子に惹かれる湊。しかし病は進み、莉子が湊への関心を失う日が来て…。奇跡のように舞い降りた一瞬の恋の物語。

2020年 22本目 映画 新解釈三国志

大泉洋さんが主演でコメディを交えた三国志ということで興味を惹かれました。

詳しい知識はありませんが、上手く笑いに繋げていたのではないかと思いました。

頭を空っぽにして見ることが出来ます




笑いに振り切った作品が好きな人は是非。

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。Each Stories

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 Each Stories (角川スニーカー文庫)

短編集。

最初から中盤まで短過ぎるなと思ったら特典小説だった… 

初めから知っていたら見方が変わったかも知れない。吉田があさみにアドバイスした話は特典では勿体ない内容だったな。

書き下ろしの話はやはり面白いというか話の濃度が違っていて差がありました。

吉田と初恋の神田さんの昔から今に引きずる感傷というのはハッとさせられました。吉田と付き合っていたが手放した神田さんの苦悩は他のヒロイン達とは立場が違い独特なものになっていました。

後藤さんと三島の空間は恋敵としてではなく、純粋に吉田さんに恋する者としてのスタンスの違いが明確に表現されていて、読んでみると確かにそんな何が何でもと動いてなかったなと。素で向き合って距離が縮まったようで何より。

沙優とあさみのエピソードは別れが見えてきたからこそ響くな。仲良くなって離れるのは辛いだろうけど、確かな絆があるなら大丈夫だと思いました。

 

さて、次巻は最終巻。

どんな結末が待っているのか気になります。

 

「沙優ってやっぱり料理上手いよな」「あ、そ…そう?」目玉焼きの食べ方から、相手の知らなかった一面を垣間見る、吉田と沙優。「今日の私の服装…どうですか」好きな人と見に行く映画に、洋服にも気合が入る三島。「大人の休みって…暇ね…」久々に体調を崩した後藤のちょっと甘えたがりな一面。「早く大人になりたいな」休日の公園でブランコに揺られて呟くあさみ。「うん、行こう!遊園地!」いきなり吉田を誘って遊園地デートに繰り出す神田のほろ苦い恋の話。家出JK・沙優とサラリーマン・吉田とのほんわか2人暮らしと、彼らを取り巻く「彼女たち」それぞれの日常の1ページ。