羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

ブルーピリオド 4

ブルーピリオド(4) (アフタヌーンコミックス)

 

遂に藝大受験が近づいてきて、ピリピリしてくる。

桑名さんの落ちていく人を見て安心を保つのは、誰だって無意識のうちにしてしまう時があるだろう。

プレッシャーと緊張が混ざって、試されている。

 

八虎の器用さ、世渡り上手の部分で秀でている分、自分勝手に楽しむことが不器用になっている。

悩める八虎を救った友人の恋との会話は思わず、グッとくるものがありました。

自分のことを考えてくれて、知らぬうちに勇気を与えているなんて、八虎にとって想像もしてなかったのだろう。

 

そして、始まる一次試験ではハプニングに負けずに、八虎らしい絵を描ききれたようで良かった。

 

 

成績優秀、世渡り上手なリア充高校男子が絵を描く喜びに目覚め、美大を目指す! センター試験も終わり、実技に向けた課題に集中して取り組む八虎。しかし藝大試験を一週間後に控えたある日、予備校の講師・大葉から自分の足りないものを指摘され迷走してしまう…。絵を描かない人もアツくなれる、話題沸騰のアート系上昇志向漫画、待望の第4巻!

サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと

サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと (カドカワBOOKS)

 

どっかの作品の紹介されているチラシが挟まっていて、気になったので読みました。

そしたら、ドンピシャで自分好みの作品で、そのチラシに感謝したいです。

 

主人公・モニカは人見知りを極めていて、詠唱が唱えられない。

だから無詠唱で行えるように極めた末に天才魔女になっていたというのが良い設定ですね。

読んでいて、モニカの一挙手一投足が気になって仕方ないです。

小動物みたいな扱いになりますが、実は最強みたいなギャップも見事!

従者の猫のネロもモニカの支えになっていて、良き。

 

モニカやネロ以外も魅力的なキャラクターが多くて、良かったです。

 

モニカが潜入任務をしていくうちに、学友などと話さなければならず、人見知りを変えようとしていく要素もグッときました。

 

護衛対象である第二王子は怪しい気配がプンプンしていて、どんな思惑があるのか。

 

これからのシリーズが楽しみです。

 

〈沈黙の魔女〉モニカ・エヴァレット。無詠唱魔術を使える世界唯一の魔術師で、伝説の黒竜を一人で退けた若き英雄。
だがその本性は――超がつく人見知り!? 無詠唱魔術を練習したのも人前で喋らなくて良いようにするためだった。
才能に無自覚なまま“七賢人”に選ばれてしまったモニカは、第二王子を護衛する極秘任務を押しつけられ……?
気弱で臆病だけど最強。引きこもり天才魔女が正体を隠し、王子に迫る悪をこっそり裁く痛快ファンタジー!

2021年 13本目 映画 恋する寄生虫

三秋縋先生の恋する寄生虫が原案である映画を観てきました。

映画化決定時はただ嬉しかったが、いざ公開されるとなると怖くなってきました。

好きだからこそ、思っていたのと違うとなるのが嫌な気がしました。

ただ、原案の小説が好きなのは変わらないからと割り切りました。

 

観た印象としては、原案の寄生虫要素を誤魔化さずに映像化にしてきたなと。

高坂の潔癖症の様子、左薙の視線恐怖の様子の表現が映画ならではで、より2人の現実との壁が見えて良かったと思います。

独特の雰囲気が原案通りで、凄いです。

ただ、結末は原案と違っているので原案を知っている人からすると思うことはあるのかなーと思います。

 

合う合わないは人次第としか言いようがないな。


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映画観たら、原案の本を読みたくなりました!


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どうか俺を放っておいてくれ2 なぜかぼっちの終わった高校生活を彼女が変えようとしてくる

どうか俺を放っておいてくれ2 なぜかぼっちの終わった高校生活を彼女が変えようとしてくる (GA文庫)

 

今回も面白かったです。

主人公・七村のぼっち語りは健在で彼の皮肉な部分がブレないのは良いところ。

 

呑気そうに見える七村だが、一週目の記憶が頭に過ぎり、迷い悩むのは優しいからこそ。

二週目だから、一週目との違いに思うことがあるのは当然。

設定が上手く青春に機能しているなと。

 

主人公・七村が変わっていくだけでなく、七村に関わった近くの友人達も変わっていくようで、心温まる物語になっている。

七村に救われた星ヶ崎が七村に助けられるだけでなく、成長したいと行動して上手くいかず、挫折しそうになるが、星ヶ崎を心配した七村と花見辻が支えてくるのは良い。

一週目のような星ヶ崎になっとほしくないというのもあるだろうが、ぎゅっと胸が救われた気持ちになりました。

星ヶ崎が成長していくのを追っていきたい。

 

人ってすぐに変われなくて、でも変わろうとしないと変わらない。高校生は色々難しい年頃だけど、だからこそ成長していく姿を見るとグッとくるものがあります。


花見辻との絡みが少なかったですが、相性良い感じで2人の会話は印象深かったです。


次があるならば夏休みということで、ぼっち脱却の夏休みが楽しみです。

 

 

「七村くんが他人事みたいな顔してるのも腹立つわね」
モデル顔負けの美人・花見辻空とともに過去に戻り、始まった二度目の高校生活も早二か月。
俺の残念で快適なぼっち生活を気に入らず、相変わらず脱ぼっちの手伝いをしようとお節介を焼く花見辻との迷惑ながらも心地いいスクールライフを送る中、今度はリア充グループに属するギャルの星ヶ崎瑠璃が俺のぼっち生活を妨げようとしてきて――!?
「七村はさ、私に話しかけられたら迷惑?」
もうお前ら全員……どうか俺を放っておいてくれ!
最悪で最高、そして残念なまでに眩しい高校2周目ラブコメ、第二弾!

昨日星を探した言い訳

昨日星を探した言い訳

 

1年振りに読み返しました。

初めて読んだ時に気にしてなかった部分にも注意して読んだら、新たな発見が出来て、何度読んでも味わえる小説だなと。

 

周囲からの差別や扱いに屈せずに真っ直ぐに突き進む茅森の気高さに天晴れ。

皆に同じ対応して、獅子眈々と目標に歩いていく彼女の隣を歩くのは、自分の考えをしっかり持って優秀な坂口。

坂口は完璧そうに見えて、徐々に男らしい頑固さが見えてきて、彼の考え方を応援したくなります。

 

倫理や愛に対する考え方、違う考え方を持つ人との会話の難しさ。文章を読み進めていくうちに頭で考えを巡らせていくのが非常に心地よい。

人と人の間の距離を埋める相互理解は中々難しい。

 

優しさを履き違えている人でも、その優しさに救われる人もいる。

話が合わなくても、それだけで相手を決めつけるのはいけない。

寄り添っていく姿勢が大事。

 

話の合間に坂口と茅森の関係にヒビが入っているのが伺えるのが挟まっており、なぜ?という意味では坂口らしい決断のせいですが、その決断をしてもおかしくはないくらいの状況だったから、納得。

 

坂口と茅森の関係も複雑に見えて、真っ直ぐ向き合っていく流れは素晴らしかったです。

 

 

 

総理大臣になりたい少女とすべてに潔癖でありたい少年の純愛共同戦線!

自分の声質へのコンプレックスから寡黙になった坂口孝文は、全寮制の中高一貫校・制道院学園に進学した。中等部2年への進級の際、生まれつき緑色の目を持ち、映画監督の清寺時生を養父にもつ茅森良子が転入してくる。目の色による差別が、表向きにはなくなったこの国で、茅森は総理大臣になり真の平等な社会を創ることを目標にしていた。第一歩として、政財界に人材を輩出する名門・制道院で、生徒会長になることを目指す茅森と坂口は同じ図書委員になる。二人は一日かけて三十キロを歩く学校の伝統行事〈拝望会〉の改革と、坂口が運営する秘密地下組織〈清掃員〉の活動を通じて協力関係を深め、互いに惹かれ合っていく。拝望会当日、坂口は茅森から秘密を打ち明けられる。茅森が制道院に転入して図書委員になったのは、昔一度だけ目にした、養父・清寺時生の幻の脚本「イルカの唄」を探すためだった――。

君の名前の横顔

君の名前の横顔

 

河野裕先生の最新作は子供、学生、大人が悩み苦しみながら、光を掴む物語。

 

世の中の正義を問う物語になっており、読んでいて現代の問題が浮かび上がり、かつ登場人物の清い考えに感銘を受ける。

正しさ、常識、そんなものは人それぞれで押し付け合わずに共存していかないといけないなと思いました。

いらない正義はなくしてしまえ、そんな状況にしてはならない。

 

子供の冬明が清く聡いからこそ、クラスの違和感や先生の行動に嫌気がさしてしまう。

そんな小さな頃から大人びた視点を持っていたら、学校に行きたくなくなるよ…

大人でも耐えたくない。

学校という場所も様々な正義が凝り固まってしまうと、そこの正義に入れない人に居場所がないのは辛い。

 

冬明の母・愛さんの冬明を想う気持ち、夫への考え、仕事場での嫌気、色々詰まっていて大変だった愛さんが冬明や冬明の兄・楓と仲良く生きていく未来を歩いてほしいばかり。

 

楓が背負っていたものには驚きましたが、彼が見つけ出した答えに希望があったので、安心しました。

 

物語のキーとなるジャバウォックの存在が上手く掻き回していたなと。

ジャバウォックは最初は懐疑的だったが、物語が進むにつれて、ジャバウォックが果たしている役割を知っていくと冬明が気にする理由も分かりました。

 

ファンタジーなジャバウォックがいるからこそ、掘り下げられた作品だったのかな。

 

世の中のすべての悲しみを避けて歩くのも、
なんだか気持ちの悪いことのような気がした。

『いなくなれ、群青』、『昨日星を探した言い訳』の著者が描く、
血の繋がらない家族と名前をめぐる物語。


夫を亡くし、小学生の息子・冬明を一人で育てるシングルマザーの愛。父親の死後、義母の愛と弟の冬明を見守りながらも、家族という関係に違和感を持つ大学生の楓。
「世界の一部を盗む」想像上の怪物・ジャバウォックを怖れ、学校に行きたがらない冬明に二人は寄り添おうとするが、「紫色の絵具がなくなったんだ。ジャバウォックが盗っちゃったんだよ」と冬明が告げた日から、現実が変容していく。
ジャバウォックの真実を知ったとき、あなたもきっと、その怪物を探し始める――。

家族とは、常識とは何かを問い直す、壮大でまったく新しい傑作小説。

魔王の帰還

魔王の帰還 (アフタヌーンコミックス)

 

面白かったです!

物語と絵がマッチしていて、良いコミカライズだと思いました。

 

傷を抱えた姉弟が過去を、今を乗り越えようと葛藤していくのは読んでいて夢中になりました。

 

タイトルの魔王というのはどういう意味か。

はっとさせられる意味が込められているので、是非読んで欲しい。

読み終えてみたら秀逸なタイトルだなと思いました。

 

停滞している日常の雰囲気も良いが、そこから動き出そうと変わっていく登場人物の姿に胸を打たれました。

 

 

直木賞候補の連作小説集「スモールワールズ」所収の傑作短編「魔王の帰還」を、最速コミカライズ!
一穂ミチが漫画版のためだけに原作を書き下ろした後日談も特別収録して単行本化!

ある事件をきっかけに強豪校の野球部をやめ、けだるい日々を送る高校生・鉄二の家に突然、嫁いだ姉ちゃんが帰ってきた。
身長188cm、体重怖くて訊けない、名前が真央で、あだ名は魔王。
色々スケールでかすぎの姉ちゃんと、図体は大きいけど小心者の弟が、金魚すくいで共闘する!?
傷を抱えた姉弟がリベンジに挑む、破天荒で切なくて、何より熱い夏休み!