羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

アオのハコ3

アオのハコ 3 (ジャンプコミックス)

 

三角関係の構図的に雛が損な役回りになりそうなものだが、そんなことにならなそうで安心しました。

 

雛が大喜と千夏の関係と自分の気持ちに気づき始めて不安に襲われるが、大喜の裏表ないハッキリとした支えに救われて、スッキリ前向きになれて良かった。

その反面、大喜と雛の距離感の近さに千夏が羨ましさを感じて、ほのかに大喜を揺さぶるようなことしていて、小悪魔ですね笑

そして、大喜は大会へやる気を高めて挑んだが、結果は…

スポーツの良さだけでなく、悔しくても受け入れない事実も描いていて、そこで落ち込むのではなく、次を見据えて歩き出せる大喜のかっこよかさよ。

 

ただ、大会の結果ぎ千夏と大喜で別れてしまい、暗雲が立ち込めてしまうのは、仕方ないなかもしれない。

大喜が気を使ってしまうのも無理ない。

 

しかし、そこで千夏の行動よ!

やっぱり千夏先輩は小悪魔だった笑

 

本番が近づき、周りからの重圧に気負う雛。不安に押し潰された時、視線の先にはいつもの大喜がいて───。そして始まるIH県予選。猛特訓の成果を強豪・佐知川高校とのダブルスに打ち付ける!! 動き出したそれぞれの青春。忘れられない、夏が来る。

ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 II

ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 II (角川文庫)

 

面白い!

李奈が成長していて、物語の始まりの頃のようなふわふわしている様子がなく、周りが躊躇いそうな状況でも真実を求めていく姿勢で聞き込みをしているのを見て、立派になったなと。

時折、弱音が見える時はあるけど着実に成長しているのが感じられて、良いですね〜。

 

そして、1巻よりも作家、編集、出版社について踏み込んだ暴露話があり、ヒヤヒヤする。だけど怖いもの見たさで覗きたくなる面白さです。実名で書いてるのがなお、怖い笑

映画化前提の作品、編集工程など、思わずブラックな笑いを誘う実情を明かしていく強気な姿勢、大好きです。

 

主軸である失踪事件とその背景が気になって仕方ないように展開していて、物語運びが巧みでした。

1巻同様、有名作家が失踪ですが、性格などが正反対で強気で周りを振り回すあの先生がなぜ?となるように上手く誘導されます。

 

地道な聞き取りを重ねていくうちにたどり着いた真実に胸が痛む。やるせなさと怒りが込み上げてきます。

 

真実にまでたどり着いた李奈の信念に拍手を送りたい。

 

最後の余韻は美しいものであった。

 

 

事件の鍵は本の中にあり――。出版界を巡る文学ミステリ!

推理作家協会の懇親会に参加したラノベ作家・杉浦李奈は、会場で売れっ子の汰柱桃蔵と知り合う。後日、打ち合わせでKADOKAWAを訪れた李奈は、その汰柱が行方不明になっていることを知る。手掛かりとなるのは、1週間後に発売されるという汰柱の書いた単行本。その内容は、実際に起こった女児失踪事件の当事者しか知り得ないものだった。偶然の一致か、それとも……。本を頼りに真相に迫る、ビブリオミステリ!

先生と僕 文庫

先生と僕 (双葉文庫)

 

大学生と中学生の微笑ましい交流の日々… だけではなく、何気ない出来事の裏に潜む悪意。

見逃していてもおかしくはない悪事を見つけることでもあって、何気ない光景から犯罪を見つけ出すという作風が気に入りました。

最初から最後まで、命の危機というのはないが、人の心の脆さや歪さを炙り出していて、ひりつく感覚が堪らないです。

 

想像力豊かゆえに怖がりの二葉とミステリー大好きで頭が切れる隼人、大学生と中学生という歳の差がありながらも共に過ごしていくというコンセプトが崩れることなく、最後まで一貫しているのが良いです。

 

物事の悪いことを重視する隼人と善を信じる二葉のデコボコ関係が意外としっくりくる空気感、関係性に惹かれました。

 

 

都会の猫は推理好き。田舎のネズミは…?―ひょんなことから大学の推理小説研究会に入ったこわがりな僕は、これまたひょんなことからミステリ大好きの先生と知り合う。そんな2人が、身のまわりにあるいろいろな「?」を解決すると同時に、古今東西のミステリ作品を紹介していく連作短編集。事件の真相に迫る名探偵は、あなたをミステリの世界に導く名案内人。巻末には仕掛けに満ちた素敵な「特別便」も収録。

幻竜苑事件 創元推理文庫

幻竜苑事件 (創元推理文庫)

 

小さな少女からの依頼から幕が上がる。

幻竜苑という旅館で起こる不可解な事件、昔起きた謎の失踪、今と過去が交差するミステリーでした。

 

犯人のトリックには驚いたし、動機に関してはゾッとするものがありました。

しかし、俊介の真っ直ぐな心が折れることなくいられるのは野上を始め、周りに頼りになる人がいるから。

俊介が犯人を突き止めるために、推理をしていく着眼点が素晴らしい。

野上や警察に負けてないのが凄い。

 

ミステリーとしてだけではなく、俊介と野上の関係も掘り下げられ、深まっていく2人の仲。これからどうなるのか楽しみです。

 

 

 

 

時は3月。探偵志願の少年・狩野俊介の再訪を待つ野上の事務所に、謎の少女が現われ、両親を殺した犯人を捕まえてくれと依頼した。不審な大金を携える少女の無礼な態度に腹を立て、冷たく追い返したものの、野上は少女のことが気にかかっていた。彼女の残した落書きを手がかりに俊介と調査を始めたところ、10年前に起きた焼死事件が浮上する。少年探偵・狩野俊介シリーズ第二弾。

リエゾン ーこどものこころ診療所ー(7)

リエゾン(7) ーこどものこころ診療所ー (モーニングコミックス)

 

表紙の向山さんの表情が堪らない!

いつも無表情な向山さんの過去が明らかになり、彼女もヤングケアラーだったこともあり、これからの人生を絞ろうとしている少女・足立と足立母に寄り添っていく姿には心が救われていく気持ちになりました。

 

頑張れて、なんとかなってしまう子ほど発覚が遅くなってしまうのは歯痒いものですね。

現実的にヤングケアラーになることで、子供の将来が狭まってしまうことはなんとか防がないといけないなと。

 

発達障害等、障害を持つ人が運転免許を取るのは難しいだろうが、それでも取りたいと思う気持ちを応援したくなりました。

遠野と村本の友情にグッときました。

 

そして、虐待について踏み込んできた。

家庭内の問題に首を突っ込むのは難儀なことだが、助けないとその子が…

行政とルールだったり、線引きに乗っ取りながら助けにいかないといけない。

次巻でどう解決するのか注目です。

 

 

大人が担うべき家事や家族の世話を日常的に行なう子どもたち(ヤングケアラー)。
家族を想う純粋な気持ちが自身の将来を閉ざしてしまうことに、彼らは気づかないでいる。
スクールカウンセラーでもある心理士の向山は、自身の経験から、子どもたちに決して人生を諦めさせない。

コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―

コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―(新潮文庫nex)

 

町田その子先生の作品は登場人物の悩みに違う角度からアプローチをしていくのが良いですね。

 

コンビニを舞台にした心温まる物語の数々。

1話1話、心に沁みるものがありました。

少年、青年、大人、立場が違っても悩めるというのは同じで、劇的な事が起こらずとも人と人の繋がりが起こす変化がとても良い。

最初は下を向いたり、周りを気にして生きていた人達が次第に気持ちが上向いていく心中の変化が魅力的でした。

コンビニってなんでも売っているからこそ、様々な目的で利用している人達がいる。

コーヒーやスイーツがもたらす効果は計り知れないです。

 

 

色気を撒き散らしている店長の存在は異物みたいな感じがしました笑 どの話も終わる頃には前を向いて生きていける力を貰えました。

 

悩んでる時は視野が狭くなってしまうものだけど、今作は店長と兄が気づきを与えてくれるので、皆が生きていくうえで広い視野を取り戻していくのはグッときました。

 

九州だけに展開するコンビニチェーン「テンダネス」。その名物店「門司港こがね村店」で働くパート店員の日々の楽しみは、勤勉なのに老若男女を意図せず籠絡してしまう魔性のフェロモン店長・志波三彦を観察すること。なぜなら今日もまた、彼の元には超個性的な常連客(兄含む)たちと、悩みを抱えた人がやってくるのだから…。コンビニを舞台に繰り広げられる心温まるお仕事小説。6編の連作短編集。

ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論

ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 (角川文庫)

 

発売当初から気になってはいたが、文豪が作品の要素に絡んでるということがちょっと躊躇いを生んでいたが、2巻が刊行されたので思い切って読んでみました。

たしかに文豪の書いた作品が参照されていましたが、物語を楽しむうえでは知らなくても問題ない範囲でした。

 

盗作疑惑が起こり、巻き込まれる形で主人公・作家の李奈は盗作疑惑の裏側を調査していくことに。

二転三転していく状況に頭を抱えたくなるが、地道な調査の末にたどり着いた終着点は悲しくも暖かさがあるものでした。

最後まで真実がどういうものか分からなかったので、撒かれていた伏線が繋がっていく終盤は圧巻でした。

盗作が行われた理由には納得がいき、裏側にあった思惑には呑まれるものがありました。

犯人のやったことは許されることではないが、そうしてしまった理由には納得しました。

 

読みながら想像していたが、かすりもしませんでした笑

 

李奈が調査をしていくうちに、作家や出版社の汚れている部分に触れていき、精神的に逞しくなっていくのが見どころでした。

事件を通して、作家として成長していて、今後どうなっていくのか楽しみです。

 

 

新進気鋭の作家に盗作疑惑!? 発覚後は失踪――

ラノベ作家の杉浦李奈は、新進気鋭の小説家・岩崎翔吾との雑誌対談に出席。テーマの「芥川龍之介太宰治」について互いに意見を交わした。この企画がきっかけとなり、次作の帯に岩崎からの推薦文をもらえることになった李奈だったが、新作発売直前、岩崎の小説に盗作疑惑が持ち上がり、この件は白紙に。そればかりか、盗作騒動に端を発した不可解な事件に巻き込まれていく……。真相は一体? 出版界を巡る文学ミステリ!