羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

賭博師は祈らない(5)

賭博師は祈らない(5) (電撃文庫)

 

ラザルスが弱さを認めて、自分を俯瞰出来るようになって、1巻の始まりよりも更にカッコよくなっている。

見事な最終巻でした。感無量です。

ラザルスとリーラの信頼関係がとてつもなく強固になっていて、クライマックスの2人の息のあった空間は、ずっと読んでいたいと思いました。

1巻から続いた物語で、これまで綺麗に畳めるとは。素晴らしい物語でした。

周り道かもしれないけど、ラザルスとリーラが互いに考えた結果の答えが見れて嬉しかったです。

きっと、再び会うでしょう。

ハッピーエンドで最高でした。

 

ロンドンの裏社会を牛耳るジョナサンと対立し、一度はすべてを失ったラザルス。だが賭博師としての矜持を奪われ、地の底を這いつくばったその先で、彼は自らが進むべき新たな境地へと辿り着く。再起したラザルスはフランセスにも勝利し、ジョナサンとの全面対決を掲げた。かつて帝都にいた友人たちが残した、ちっぽけな約束を守るためだけに。一方、ラザルスの無事に安堵したリーラだったが、彼女は故郷へ帰る為の乗船券を渡されたことに戸惑い、自分が主人に対して抱いていた想いに気付かされる。―『私は、ご主人様が好きです』そしてラザルスはリーラとの関係にひとつの答えを出すことに。二人の物語に訪れる結末は、果たして。

MUSICAL『ルードヴィヒ ~Beethoven The Piano~』映画版を観た。

去年、舞台でやっていた時から気になっていたので映画版でも観れて嬉しかったです。

ミュージカルはあまり観てなくても観ていくうちに乗れる感じがしました。

ベートーヴェンの人生は誰もが知る程度の知識しかなかったが、それでも釘付けになる圧巻の舞台だったなと思いました。

音楽の才能がありながら、耳が聞こえなくなる不運に見舞われ、様々なものを失っていく喪失感。過ち、後悔、負のエネルギーをひしひしと感じました。

ベートーヴェン以外の登場人物も逆境や困難にあっても、自分の人生を歩いていて、勇気を貰える舞台でした。

 

中村倫也さんが好きな俳優なので観に行きましたが、大満足です。

 

 

君と漕ぐ5

君と漕ぐ5―ながとろ高校カヌー部の未来―(新潮文庫nex)

 

好きなシリーズだっただけに完結は寂しい。

刊行ペースがゆったりしていたので、記憶が曖昧だったのは残念。

まとまっていた感じはあるが、舞奈の成長がもう少し見たかったかな。様々な登場人物の進路や胸中を描いていて、青春小説としての区切りが見えたのは良かったかな。部活を続けたり、違う道に行ったり、それぞれの道を歩いていくのは現実的でした。

ただ、もっとながとろ高校カヌー部の活動を見たかった。

始まりに繋がるような終わりだったので、最初から決まっていたのだろうな。

 

日本代表選手となり注目を集める天才カヌー少女・恵梨香。だが大会で思いがけない事態に見舞われる。親友の舞奈は彼女を見守るが。一方、三年生になった希衣は自らの進路に悩んでいた。大学でも夢を追い続けるべきだろうか、それとも。そして迎えたインターハイ。今度こそ全国制覇の悲願は叶うのか——。感動のエピローグに熱い涙が溢れ出す、水しぶき眩しい青春小説、ついに完結。

ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 VIII 太宰治にグッド・バイ

ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 VIII 太宰治にグッド・バイ (角川文庫)

 

今回も事件に巻き込まれる李奈。もはやスムーズ過ぎて、驚かない。

太宰治がサブタイトルに入ってる段階で薄々感じていたが、暗い話に。偉大な作家の業を現実に落とし込んだら、こうなるかといった結末。様々な謎が繋がって、明かされる結末にやるせない気持ちになりました。

純文学の世界は奥が深い。

今回、犠牲になった彼は悪いことしてないから、後味悪い。

李奈が作家として認め合っていた人との行末は寂しくても、暖かいものがありました。それは救いだった。

あと、作家としての立場も右肩上がりのようで安心しました。

 

 

太宰治の遺書とみられる文書が、75年ぶりに発見された。太宰本人の筆である可能性が高いことから筆跡鑑定が進められていたが、真贋判定の直前に仕事部屋で起きたボヤにより鑑定人が不審な死を遂げる。李奈が真相究明に乗り出すが、同時期に本屋大賞にノミネートされた同業者の柊が行方不明になったことで、胸中は穏やかではない。太宰の遺書と気鋭の作家の失踪に関連は? そして遺書は本物か? 手に汗握るビブリオエンタメ!

ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編9

ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編9 (MF文庫J)

 

色々張り巡らせているなーといった感じ。

南雲は結局のところ、念願晴らせず卒業するのかな。まだ、3学期があるけど、まだ清隆への対抗心が残っているかどうか。

堀北が生徒会長になるのが、どう転ぶか。

堀北が頼りになって、すっかり清隆が介入しなくなって何より。

櫛田との一悶着は愉快でした。

今回は一ノ瀬の覚醒、いや奈落への落下か。清隆の狙い通りになっているのが吉と出るか凶と出るか。

坂柳が言う通り、清隆に傾き過ぎていて、心配になる。というかもういくところまで行くしかないのかなと。

勝手な想像だけど、恵とは別れて、一ノ瀬も退学、なんてことにもなるのかな。

着々と清隆の仕込みが進んでいるのが怖い。

 

あとは、橋本が坂柳から離れる可能性が出てきて、どうなるか。

 

3学期は波乱が待ってそうで期待が膨らみます。

 

修学旅行も終了した12月、2学期最後の特別試験・協力型総合筆記テストが発表される。
内容は1人ずつ交代で試験問題を解き、最終的にクラス全員で全100問のテストを解くというもの。堀北Bクラスは坂柳Aクラスとの対戦となる。
試験準備が始まる中、南雲が次期生徒会長を決めると宣言する。2年生の生徒会メンバーは堀北と一之瀬。立候補を問われるも一之瀬の意思は生徒会自体を辞めるというものだった。
新たな生徒会メンバーの確保という問題の他、鬼龍院を狙った万引き偽装事件も発生し、生徒会周辺も慌ただしくなっていく。
『無理してないから。……私も、綾小路くんに会いたい……』
学園黙示録は新たな混沌へ――。

賭博師は祈らない(4)

賭博師は祈らない(4) (電撃文庫)

ラザルスが落ちていく。

絶望感に打ちひしがれながら、自分が弱くなっているのを実感していく展開は辛い。

しかし、底にまで落ちたから師匠を思い出せた。

ラザルスの賭博師としての終わりが迎え。再び賭博師になる。今までとは違う、スタイルを見つけていく。

フランセスとの関係も清算し、いざ最終巻へ。

フランセスを助ける手段は今までだったら出来なかっただろう。

 

この作品はラザルスが賭博師としての在り方を見つめ直して、リーラは自分の生き方を見つけていくものなのか。

1巻から、上手く展開してきたなと。

 

 

バースでの長逗留を終え、ようやくロンドンに帰還したラザルス。リーラは徐々に感情豊かになり、観光がてらついてきたエディス達との交流も続く。賭場の馴染みからは、そんな関係を冷やかされる始末。ラザルスは賭博師として日銭を稼ぐいつもの生活へと回帰していく。だが幸福そうに見えるラザルスの心を陰らせるひとつの懸念―。リーラという守るべき大切なものを得たが故に、彼の賭博師としての冷徹さには確実に鈍りが生じていた。裏社会の大物や警察組織にも目を付けられつつも、毎日を凌いでいたラザルスだったが…。そしてかつての恋人である賭博師・フランセスとの因縁が、ラザルスに決定的な破滅をもたらすことになる。

賭博師は祈らない(3)

賭博師は祈らない(3) (電撃文庫)

 

ラザルスの旅は波乱だらけ。

今回は自分から踏み込んだわけではないが、勝手に巻き込まれていた。

変化と愛情がテーマとしてあったが、結局のところ人それぞれ。歪みを感じても、それはその人の在り方だから、他人から見たら同意出来なくても仕方ないのかな。

 

物語としては、リーラは徐々に変わっていっててめでたいが、ラザルスは重症だ。

もうリーラと出会う前に戻れないのか。

賭博師としての自分が揺らいでしまっている。その変化は受け入れがたいものだろう。じっくり変化を描いているからこそ、致命傷なのが分かる。

優しくなっているのは良いと思うが、自己がブレ始めているから、ショックだよなぁ。

 

ノーマンズランドでの負傷も癒え、ようやく当初の目的地バースにやってきたラザルスとリーラ。村から付いてきた地主のエディスとメイドのフィリーも道連れに、気侭で怠惰な観光を洒落込むつもりだったが、一つ誤算があった。温泉とギャンブルが名物のこの街で目下勃発しているのは、賭博を司る儀典長と副儀典長による熾烈な権力争い。バースへの道中で出会った知人からは忠告を受けるも、時すでに遅し。温泉から宿に戻ってみると、部屋には荒らされた形跡。そして一人横たわる血まみれの少女。面倒事の匂いに辟易としながらもラザルスは彼女を保護する。それは、陰謀張り巡らされたバースにおける長い戦いの幕開けであった。