羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

か「」く「」し「」ご「」と「

か「」く「」し「」ご「」と「(新潮文庫)

 

少し不思議な能力を加えての青春群像劇です。

京、ヅカ、ミッキー、パラ、エル、仲良し五人組の間に起きるすれ違い。

それぞれがかくしごとを抱えていて、それは他人の気持ちを様々な表現で知るということ。

浮かれてしまうような能力ですが万能というわけではなく、その能力に頼ってしまうことで自分の奢りが突きつけられる苦さがまた良い。

壁にぶつかりながらも最終的に前向きになれるような気持ちになれて、爽やかさもありました。

 

こんなふうにすれ違いが起きていたら退屈しないだろうなと羨ましくもあり、自分の気持ちと向き合う青春が眩しかったです。

 

みんな表に出ない裏の感情があり、それを抱えながら輪に加わっていくのは苦しいかもしれないが、仲間が受け止めてくれるというのはどれだけありがたいか。彼彼女らの気持ちに尊さを感じました。

各人物の心境を書くのか上手く、話が進むにつれて変化していく様子が自然に見えるから、流石です。

 

5人の男女、それぞれの秘密。知っているようで知らない、お互いの想い。
みんなには隠している、少しだけ特別な力を持った高校生5人。別に何の役にも立たないけれど、そのせいで、クラスメイトのあの子のことが気になって仕方ない――。彼女がシャンプーを変えたのはなぜ? 彼が持っていた"恋の鈴"は誰のもの? それぞれの「かくしごと」が照らし出す、お互いへのもどかしい想い。甘酸っぱくも爽やかな男女5人の日常を鮮やかに切り取った、共感必至の青春小説。

2020年 18本目 映画 罪の声

公開されたばかりの罪の声を観てきました。

公式サイト→ https://tsuminokoe.jp/sp/index.html

小栗旬さん、星野源さんが主演の映画で、現実でもあった事件をモチーフにしている作品です。

社会を巻き込んでいく劇場型犯罪の真相を追っていくというもので、新聞記者の阿久津が地道に事件を追っていく。反対にテーラーのお仕事をしている俊也が事件に自分の声が使われていると知り、調べ始める。

最初は別々の角度から事件に追っていた2人だが、中盤で交差してからは怒涛の展開で、最後まで突っ走っていきました。

聞き込みで進んでいくが、退屈することなく、話にのめり込んでいきました。

出てくるキャスト達の迫真の演技には圧倒されるばかりでした。

 

なぜ、こんな事件が起きたのか。

事件によって起きた罪の意識。

犯罪を解明していく意義。

とても胸に刺さってくる、訴えかけられる映画でした。

 

目の前の不幸から目をそらさずに向き合っていくことの大事さが伝わってきました。

 

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カノジョに浮気されていた俺が、小悪魔な後輩に懐かれています3

カノジョに浮気されていた俺が、小悪魔な後輩に懐かれています3【電子特別版】 (角川スニーカー文庫)

 

1巻から気になっていた悠太の元カノ・礼奈の浮気の真実について。

悠太が礼奈と別れたことでこの作品は始まったので重要な話ですね。

読者からすれば浮気をした側の礼奈が吐く意味深な台詞になんだ?となっていましたが、そういうことかと。

悠太と礼奈は付き合っていたけど、互いに深い部分まで話していなかったからこそ、かけ違いぎ起きてしまったんだなと。

悠太は彩華は友達。礼奈からすれば自分より悠太に近い彩華に不安を抱くのは仕方ない。

不安定な気持ちのときに気の迷いは生まれるのは仕方ないのかも…

だけど気持ちを話さなすぎではあるが。

礼奈が悠太との関係が壊れるまでの描写が複雑で、もどかしい。だからこそ説得力は生まれていました。

彩華も2人の関係が壊れた関係を察してしまうのもなんだかなぁ。

真由はただの後輩から抜け出すように悠太が礼奈と向き合うように背中を押すのは良いなぁと。

 

浮気の定義は人それぞれ良い分はあるが、しっかり向き合って話さないとモヤモヤを抱えっぱなしは良くない。

真由の浮気についての言い分がスッキリしていて好きだなと思いました。

 

さて、3巻までに後輩・真由、腐れ縁・彩華、元カノ・礼奈の掘り下げが終わり、これからどうなっていくのかますます楽しみです。

個人的に彩華の一強ですが、真由と礼奈がどう動くのか気になります。

 

クリスマス直前に彼女に浮気された大学生・羽瀬川悠太。そんな俺の家に、からかい好きな後輩・志乃原真由が入り浸る春休みも明け、大学生活三年目の四月―真由と同じ講義を受け、親友・美濃彩華にはサークルの新入生歓迎会に誘われたりと、賑やかな新学期を過ごしていた。しかし、それでも脳裏によぎる、元カノ・相坂礼奈の言葉。「私、浮気なんてしてないから」付き合っていた頃の想い出と、別れを決めたあの光景が甦るなか、再会の時が訪れて…。「ねえ、悠太くん。私のこと、嫌い?」浮気の真相と胸に秘めた想いを明かす礼奈に、俺は―。ちょっと大人の青春ラブコメ、未練と決意の第三巻!

放課後の宇宙ラテ

放課後の宇宙ラテ (新潮文庫)

 

ゆるーい、だけど広がっていく青春SF作品。

タイトルの不思議さとフライさんのイラストに釣られて読みましたが、読んでてワクワクしていく展開に惹きつけられました。

 

主人公の圭太郎は宇宙人と出会った記憶があり、超常現象を信じているが、周囲に合わせて個性を消そうとしてしまうのは分かるが味気ない日々になってしまう。

そんなときに訳ありの天才美少女の曖と出会い、幼馴染の未想と共に活動していくことで世界は変わっていく。

たしかに現実で非現実的なものがあった。

それを追い求めていく部活の日々や仲を深めたり、輪を広げていく様子はまさに青春でした。

序盤から中盤までは青春盛り盛りでしたが、中盤からSF要素が顔を見せてきて、雰囲気はがらりと変わっていくが、未知のことが明かされていくのはワクワクしました。

 

圭太郎の願いや曖が知りたかった過去、未想の秘めていた気持ち、それぞれの気持ちが紐解かれていく終盤は目が離せませんでした。

 

色々ありますが、圭太郎、曖、未想の三角形の関係は切なくて美しいとも思いました。

結局のところ、友情が全てです。

 

高校一年生の春、僕は本当の宇宙人(ともだち)と出会うことになる――。
理研の放課後は、すこし不思議でちょっと切ない青春部活系SF大冒険!
高校生になった圭太郎は、超常現象なんか信じない平凡な青春を過ごすつもりだった。が、幼なじみの未(み)想(そう)が持ってきた数理研(実質オカルト研)の廃部室の鍵が、退屈な日々を一変させる。自称超能力者の転校生曖(あい)の「存在しない夏休み」の記憶、その真相は想像を超えた世界の秘密につながっていた。宇宙人なんていない……本当に? すこし不思議でちょっと切ない青春部活系SF大冒険。

灰と幻想のグリムガル level.14++ もし君とまた会えたなら

灰と幻想のグリムガル level.14++ もし君とまた会えたなら (オーバーラップ文庫)

 

再び短編。

懐かしいマナトがいる時のモグゾーとランタの料理対決はさもあり何といった結末だが、息抜きには丁度いいんじゃないかな。

メリィがハルヒロ達と出会う前のどこに向かうかわからない時期は仲間を失った悲しみと出会う冒険者の下衆な部分に触れることで、より意固地になっていたんだな。

だけど、ハルヒロ達と出会った最初の頃はメリィ視点から見ると納得しました。

ハルヒロ視点から見るとメリィはトゲがあったなと思うがメリィからすればハルヒロ達の方が歪だったんだな。

メリィの過去や気持ちを知ることで、ハルヒロ達に心開いていくところは晴れやかな気持ちになりました。

 

そしてユメ。

ハルヒロ達と別れた後にどうなってたが心配だったが、ユメなりに自分の弱さを自覚していてどうにか生きるすべを学んでいて成長していました。

元気っ子だけど、頭の中ではモヤモヤしてたんだなと思うとパーティーから1度離れるというのは良い選択だったんじゃないかな。

 

ユメがグリムガルに戻ったら非常事態になっていて、これからどうなるのか気になります。

ユメのピンチに現れたあの男もかっこいいなおい。

 

 

 

パーティを離れ、修行のためモモヒナと共に行動していたユメは、絶体絶命の窮地を乗り越えオルタナへと帰ってきた。だが、どうも様子がおかしい。仲間との再会は叶うのか。オルタナに漂う暗雲の正体とは―。「強くなれるまで、よわよわのユメのまま、がんばるしかないからなあ」修行を終えたユメの決意と成長を描くエピソード『月下に吠ゆる私は狼』。そして、ランタが無謀にもモグゾーに料理勝負を挑む『正義と正義』、デッドスポットを倒して得た懸賞金の分け前を巡る後日談『お楽しみはこれからだ』など、TVアニメ用特典小説も併せた全4エピソードを収録!

ワンダンス04

ワンダンス(4) (アフタヌーンコミックス)

 

ぐんぐん成長してきて様々なスタイルに挑戦していくカボだが、まだまだ未熟と壁にガツンと当たりながらも反省して自分に出来ることを発揮して微かなチャンスをものに出来て良かった。

トントン拍子にきてきた中で、うまくいかなかったって出来事をただ残すではなく、即解消するのは良い。

湾田もカボに追いつこうとするあたり無邪気だけど我を見せてくるのは可愛い。

 

新キャラ壁谷がカボや伊折とどう絡んでいくのか楽しみ。

壁谷は名前の通り壁を作っているが、彼の掘り下げを期待します。

伊折がカボから影響受けて変わってきていて一匹狼から抜け出しきたように見える。

外見とは裏腹に良いやつなんだけど深く関わらないと壁谷みたいに勘違いするやつが出るよなー。

 

 

(あらすじ)

「お前はバトル向きだと思うよ」一凛高校ダンス部唯一の男子の先輩・伊折からダンスバトルの才能を見い出されたカボは、バトルの深みへと魅了されていた。そんな時、B-BOYダンサー・壁谷楽に出会う。伊折との確執、生まれもった体格差、ダンス部への価値観。数々の苦悩を背負った壁谷のパワープレイは、あらゆるフロアを一瞬にして支配する――。そして舞台は最強ダンサー・壁谷が立ちはだかるダンス部対抗バトル大会へ!

 

17歳のラリー

17歳のラリー (角川文庫)

 

表紙から青春の淡さが感じとって読みましたが、抜群の切れ味でした。

青春の痛さや複雑さが好きな人には間違いなく突き刺さる作品でした。

 

高校3年生という部活の集大成の時にチームの大黒柱である川木から突然別れを告げられるところから始まる。

上の世界を目指すため、海外留学すると言う。

チームの中で抜群の存在感で引っ張っていた存在が急に抜けると言われて動揺しないはずがない。

ペアを組んで劣等感を感じていた。

期待を受け止められなかった。

身近の存在が遠くへ行ってしまう。

片想いが終わってしまう。

羨望から生まれた関係が消える。

様々な感情が渦巻いている短編集でした。

どの話も読んでいて共感しかないです。

読んでいて自分が学生時代の振り返ってしまうような、感覚がありました。

登場人物の揺れ動く感情を剥き出しにして描いているからこそ、読み手の心も揺さぶられました。

最初は受け入れられなかった現実も、川木と接していくことで向き合えるようになっていく変化は美しく思います。

 

登場人物の気持ちに寄り添って読み進めていくと浸れました。

 

川木も旅立とうとした理由や部活を想っている気持ちが確かにあって、それは仲間の存在がかげかえのないものだったからこそ決意出来たというのは素晴らしいです。

 

少年少女の青春群像劇として痛みがありつつ、綺麗な感情に昇華させていく作者の手腕が光りました。

 

タイトルのラリーはテニスだけでなく言葉もラリーを行なっていくのか大事なんだなと。

 

高校三年の春。テニス部を舞台に、17歳の等身大を鮮やかに描く青春群像。

「七月くらいにいなくなるわ」
十七歳の春。海外への留学が決まったという三年生のエース・川木の一言が、平凡な都立高校テニス部にさざ波を立てる。絶対的な才能を持つ彼に対し、抱えていても言い出せなかった仲間達の劣等感、葛藤、嫉妬、恋慕……。そして部を去ることを決めた、川木自身の本音。積み重なった様々な想いは、やがて最後の夏を前に連鎖的に爆発していく。高校三年生の等身大を鮮やかに描き出した青春群像。