羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

創元推理文庫

幻竜苑事件 創元推理文庫

小さな少女からの依頼から幕が上がる。 幻竜苑という旅館で起こる不可解な事件、昔起きた謎の失踪、今と過去が交差するミステリーでした。 犯人のトリックには驚いたし、動機に関してはゾッとするものがありました。 しかし、俊介の真っ直ぐな心が折れるこ…

月光亭事件 創元推理文庫版

太田忠司先生の作品が気になっていた中、手に取りやすそうな今作を読みました。 少年探偵・狩野と犬・ジャンヌが探偵・野上のお手伝いすることに。そんな時に依頼が来て事件に巻き込まれる。 無邪気な狩野の性格に頬が緩む。 ジャンヌの振る舞いにも愛おし…

名探偵の証明 蜜柑花子の栄光 文庫

名探偵のあり方を探求し続けたシリーズの最終巻。 前巻から登場した祇園寺が再び登場してきて、蜜柑と相方の日戸が振り回される。 蜜柑の名探偵として試される連続謎解きにカタルシスを感じつつも違和感があり、全てが収拾していく結末は見事としか。 途中…

探偵は教室にいない 文庫

単行本が大好きで読み返したりしていた作品で、文庫化されるのは嬉しい。 しかも、単行本にはなかった作者のあとがきが入っている。 内容としては、中学生男女4人とひきこもり探偵が登場する青春日常ミステリー。 各話スポット当てられる子たちが話の終わり…

開化鉄道探偵 文庫

発売時から表紙やあらすじで気になってはいたが、手が出せてなかった。 もう勢いで読もうと思いきって買いましたが、満足出来る作品でした。 探偵に弱い人からすると、今作の探偵ポジの草壁が魅力に見えるでしょう。 飄々と事件を探っていく振る舞いが良い…

リバーサイド・チルドレン 文庫

叫びと祈りでガッツリ作者に心掴まれたので、次作のリバーサイド・チルドレンは楽しみにしてました。 今回も異国カンボジアを舞台にしていて、本筋とは離れた情報描写がうまくて頭の中で主人公達が過ごす風景が想像出来て、それだけでも心地よいです。 主人…

叫びと祈り 文庫

作者の別作品が文庫化されるので読み返しました。 外国の様々な場所が舞台になっていながら語り手が多言語を話せる日本人ということで、話に入りやすいのは大きいです。 また、場所や風景、感情等の描写が上手いので、文章読んでいて頭に入ってきやすいです…

自由研究には向かない殺人

タイトルに惹かれて読みましたが、読んで良かったです! 今年読んだミステリー作品の中でも屈指の面白さでした。 主人公のピップが非常に魅力的で、物事に対しての向き合い方や友達への配慮などが優れている。 そんな彼女が地道な調査や綱渡り的な活躍を見…

名探偵の証明 密室館殺人事件 文庫

前巻の屋敷の最後について、どう書かれているのか気になっていましたが、あまり言及されてなかった。 書くだけ野暮か… ただ、蜜柑が屋敷の影響を受けていたのでそういう事なんだろう。 蜜柑が名探偵としてのあり方に悩んでいるので語り手にならず、代わりに…

名探偵の証明 文庫

シリーズの続巻が文庫化されるので読み返しました。 改めて読んでも、名探偵の生き様を貫く屋敷の姿はかっこいい。 名探偵は常に犯人と対するが、その結果次第では一般人などに馬鹿にされたり警察から厄介者扱いを受けてしまうという、名探偵の負の部分に焦…

屍人荘の殺人 文庫

剣崎シリーズの始まりの1巻。 単行本既読で映画も鑑賞済み。シリーズの新刊が発売されるので読み返しました。 内容は大体は知っているから確認するようになってしまったが明智さんと葉村くんの関係は何度読んでも良い。 気になったのは、葉村くん、比留子の…

夏を取り戻す 文庫

単行本発売時から気になっていて、どんなミステリーかと思ったら、少年の成長と大人の後悔が混ざり合って成長と変化を生み出す素晴らしい小説でした。 もちろんミステリーとしても緻密な采配で伏線を伏せたり回収したりしていて、真相を追っていく過程を読…

アルファベット・パズラーズ 文庫

アルファベットに因んだ事件が4話並ぶ短編集。 安楽椅子探偵モノで最初は軽い気持ちで読み進めていけるが事件の真相に迫っていくうちに、いったいどんな仕掛けがあるのかワクワクしました。 アルファベットの意味に込められた、想いが分かる幕引きは魅力的…

グラスバードは還らない 文庫

単行本既読です。 一度読んだ時は事件の場面やトリックが詰められなかったが今回2読目したら細かく把握することが出来て、より話に入れました。 最初のプロローグが持つ意味を考えて、話を読み進めていくと思いますが、全てが解明されてまたプロローグに還…

パズラー

ミステリーとして倫理的に事件の真相に迫っていく過程にある議論がどの話も魅力的でした。 各話の軸になる謎自体も最後まで読まないとわからないようになっていて読む手が止まらないですね。いったいどんな真相か気になって仕方ないです。疑問から解決まで…

フライ・バイ・ワイヤ

青春、ミステリー、SF、それぞれの要素が絶妙に混ざり合っていて、かつ事件の不明瞭さが物語を引っ張っていて、読み応えがありました。 なぜ被害者は死んだのか、犯人の動機なども理由がハッキリ明らかになるので満足度が高いです。明かされてみたら納得の…

メグル 文庫

大学生の迷える悩みをアルバイトで消化していく流れに慣れてしまいそうだが、流れを変える話が出てきていて、飽きさせない構成になっていました。 各話に出てくる学生の悩みにあったアルバイトを紹介する悠木さんの人を見抜く目が素晴らしい。それぞれ、最…

金木犀と彼女の時間 文庫

素晴らしい青春ミステリーでした。 タイムリープの繰り返しの特殊設定に悩む主人公・菜月の心情が綿密に描かれているからこそ周りの人達と距離を置いて悩む気持ちに感情移入しやすくなっていました。 だからこそ、小さな頃にタイムリープが生じることで混乱…

幸運は死者に味方する

探偵・ペンテコスト、助手・パーカーが共に女性で妙に癖になる人物像で彼女達が事件の謎を追っていくのを見るのが楽しかったです。 年の差が母娘ほどあるのに2人の間にある信頼関係がブレることなく進むのは良いですし、互いに補い合うように捜査をしていく…

卒業したら教室で

市立高校シリーズの最新刊! 目次から仕掛けられていて、高校生達のミステリー作品だよな?と疑うようなもので笑いました。 内容としても卒業シーズンらしく別れや今までの思い出が頭によぎるもので良い雰囲気でした。 また、葉山くんの柳瀬さんへの気持ち…

家庭用事件

短編集。 時系列がバラバラで雰囲気も軽いので気軽に楽しめました。最後の話以外は。 最後の5話の優しくないし健気でもないはそれまでとガラッと変わってメッセージ性、社会で取り上げられるべき事柄が入ってきて驚くと同時に上手くミステリーに組み込んで…

昨日まで不思議の校舎

またもや市立高校に潜む闇が暴かれる。 いったい、この高校はどうなっているんだ… 1巻の壁男の件がここにきて浮上してくるとは思ってもいなかったです。 最初は学校の七不思議の話は軽い雰囲気になりがちで前半から中盤までは日常に起きた謎みたいで好奇心…

いわゆる天使の文化祭

文化祭という独特な雰囲気ななか不思議な貼り紙があちこちに出現して、変なイタズラが起きたなと思っていたら葉山くんがあるものを発見したことにより事件に重みが出ていく。 文化祭の一部中止を阻止するために葉山くん、柳瀬、ミノで動いていくがもう少し…

まもなく電車が出現する

短編集。気軽に読めましたが今までの話よりはサラッといきすぎて物足りないのは否めないですね。 軽い息抜きにちょうどいいです。 どの話も謎の裏にある犯人の動機が様々でした。理由はわかるがそこまでするかと思ってしまいます。 今日から彼氏ははこのシ…

さよならの次にくる<新学期編>

卒業式編からの続きで新学期。 伊神さんが卒業してこれからは出てこないのかなと思っていたらがっつり出てくるのは名探偵の宿命ですかね。 新キャラの佐藤さんが明らかに怪しいが葉山くんからしたら気づかないものだね。 佐藤さんはかなり頭が切れていたか…

さよならの次にくる<卒業式編>

2作目にして伊神さんが卒業するというのは驚きました。 また、その伊神さんの卒業式後葉山くんが追いかけていくのは青春だなと思いつつ、消えた伊神さんという謎もあり一筋縄にはいかないあたり伊神さんだなぁと。見つけるまでに伊神さんの昔話を知っていき…

理由(わけ)あって冬に出る 

市立高校シリーズ1巻。 シリーズの最新刊が3月に出るそうで、記憶が曖昧になっているので読み直していこうかなと。 なんとなく朧げながら頭に残ってましたが、何度読んでも楽しめる質が良い作品です。 主人公の葉山くんが変わり者の先輩で探偵の伊神さんに…

密室から黒猫を取り出す方法 文庫版

音野順シリーズ2巻。 今回もまたバリエーション豊富なトリックの数々に驚かされました。 表題作はシチュエーションは好きですが、真相はちょっと都合の良さが気になってしまいました。 個人的に好きだったのは人喰いテレビと音楽は凶器じゃないのトリックは…

踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿

表紙に惹かれて読みました。(小市民シリーズ好き) 主人公である音野順が消極的に事件を解いていく短編集。 ここまで弱気な探偵は珍しい。友人でワトソン的立ち位置の白瀬白夜が音野のためだったり、自分の執筆のために音野に見せ場がくるように事件などを引…

ブルーローズは眠らない 文庫

単行本既読。 ぼんやりと覚えていたがまたしても騙された。 ジェリーフィッシュは凍らないとはまた違った事件の複雑さで読み進めていくうちに徐々に明らかになっていく事態にくらいついていくのに必死になってました。 今と過去、日記、前半に見せられてい…